小林勝行『オレヲダキシメロ』 レビュー

小林勝行の2ndアルバム『かっつん』のラストの10曲目に収録されている曲です。

MVも音楽ストリーミングサービスにもありませんが、絶対聞くべき日本語ラップの名曲だと思っています。

”オレヲダキシメロ”のオレ

オレとは黒いペンのことです。以下歌いだしのライン

俺は黒いペン
ただ単自分のツレ
白紙の上で黒になって
命をけずる

俺は黒いペン
今日生きた正義残すねん
いつの日か自分の世界
良く変える

この曲の凄い点は、黒いペン目線で小林勝行というラッパーが病気と戦う姿、曲を制作する苦悩などの描写で話が展開されていくのです。

躁鬱という病気から這い上がっていこうとする歌詞は、多くの人に勇気を与える作品になっています。

躁鬱で隔離されている時の描写

「この病は一生完治する事はないです」

そう聞いたかっつん
うそん離れ離れ
カメラの監視下で自殺系？
疑われいやいやそれはない
いつもの寝息芯に響く
真っ白い部屋ある種の牢獄上等
眠剤ごっくんベッドでめっちゃボー
なにしとんねん？

曲の制作描写

絶対ゆお隔離から診察
声仏事を為す

「先生、俺もぉなんもキズつけないんで紙とペン返してほしいです」

ありがとうございます
お前は俺を受けとり泣くと
部屋で速攻俺を走らし
次の朝から見だした頭上
二人描いた文面は
その目を通し手に触れ
当時の良き縁らすくい上げ
偉大な叙事詩へ

オレヲダキシメロ

病気から這い上がらんとする描写

彼は猫背使命背負いし
精神手負いし
心の氷河期でさえ
このアルバム抱き無敵成り上がり

その手かがげや今宵の宴は
一緒になんか勝つ為人生劇
海を胸に懐かしい笑み
見届け頭
コウベヲウエニ

などなど、描写の生々しさがすごい。

そして、命を削って作品を作っている熱さが伝わる曲です。

2ndアルバム『かっつん』の魅力

個人のバックボーンがダイレクトに歌詞に現れるのがラップですが、小林勝行のラップはその特色が色濃く出ています。

アルバムの曲では、病気、妹の結婚、風俗、ギャンブル、遊び、曲の制作について描かれており、入院中の会話がSkitになっています。

本当に近い距離の事をラップしているのに、共感を覚えるのが小林勝行のラップです。

1. 寛解の連続
2. from 隔離室～南1病棟、廊下から喫煙所にて～
3. ビタ!赤7
4. 絶対いけるⅢ
5. FUKUHARA ～南1病棟、喫煙所にて～
6. 花嫁あーにゃん～南1病棟、喫煙所から雑居部屋にて～
7. 僕もガイドヘルパー
8. 遊ぼうぜ
9. おかえりなさい
10. オレヲダキシメロ
～CD特典～
11. 寝ろ
12. ある種たとえば Remix
13. 花婿 mymen
13. Fu my love①

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データ販売では4～6曲目が新曲になっています。CD3曲目の「ビタ!赤7」がなくなっています。

1. 寛解の連続
2. from 隔離室
3.南1病棟、廊下から喫煙所にて
ーーーデータ配信限定－－－
4. くノ一卑弥呼イントロ
5. くノ一卑弥呼アウトロ
6. 南1病棟、喫煙所にて
ーーーーーーーーーーーーー
7. 絶対いけるⅢ
8. FUKUHARA ～南1病棟、喫煙所にて Part2～
9. 花嫁あーにゃん～南1病棟、喫煙所から雑居部屋にて～
10. 僕もガイドヘルパー
11. 遊ぼうぜ
12. おかえりなさい
13. オレヲダキシメロ

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MV

寛解の連続

寛解の連続　歌詞

おはよう昨日寝れたん？
大丈夫か？
俺と息を合わせ一緒におろ
なんでもえーもぉええから
ここでちょっと間休んだらええ
ヨレとん？薬効いとん？
わかば吸う？
自分いっつも紙ペン持っとーな
えーなえーな
自分の世界があるもんな
俺もぉここを出れんけど

兄心のまんま生きても
社会は不自然でえらいでしょ？
外へ出ても誰を演じても
街も悲しかったし
可笑しいなウソみたいな
幸せってなんやっけ？
伝われ今声が
響いててずっと
僕は自分の味方
せやで今日もよろしくな

from 隔離室

from 隔離室　歌詞

小林勝行これは仏道修行
未だ懲りず候
泥から芽を出す蓮
心を望む

もぉ自分ほとんど寝んと
家で暴れポリに連れられ
精神病院病名躁うつ病
どーするもこーするも
監禁隔離室四角い部屋
天井のカメラニヤツイテハ
ツレとテレパシー一人爆笑
看護師ノーリアクション
関係ないお茶出す
小っちゃい窓からは安定剤
上等誇大妄想
素面で心つながり
ドライなってない
回らん呂律薬飲んだふり
隔離出たらすぐに本あるし
喫煙所くすぶり音楽に
誰かと話したいな

なぁかっつんわかっとー
今平気やろ？わかっとー
未来の俺どないなっとん？わかっとー
何笑っとん？
これからやろ？フフフッフッ
これからやろ？フフフッフッ
俺からしたらお前はマトモ
自由なっていっぱい遊ぼ

ふと目覚め嘘みたいな気分
切ないネガティブも祈るいっつも
素面で創った
自分のアートがセラピスト
グラウンドとかiPodの許可
鳥のさえずり勘とりもどす
縁したツレと変毒為薬口にし
絶望トリノゾク
上がっていこう地獄のローから
往復しまくった廊下や中庭
晩だいだいの灯りや
俺にだけゆーてくれた話や
1つ屋根の下ありがとうな
暮らしやすい様に真似をした
先に娑婆へと羽伸ばした
お前はなんも狂ってないで

ずっと胸中

ある種たとえば

ある種たとえば　歌詞

多分深い森ん中
むっちゃ大自然
綺麗な川が流れとって
そこで俺ら自給自足して生きる
お前は釣りをしたり
やっぱ畑見たり
仲間ででっかい獲物捕れた日には
火を囲み宴をして楽しく過ごす
そんなある日山の向こうから
飢えた奴らが一斉に来て
有無もゆわさず襲ってきて
俺ら呆気なく皆殺られた
倒れる地面俺がなにしてん？
お前と目を合わし二人同時に
心臓が止まってしまう時に
意地でもここを
「離れへん」って誓った

畳の上俺らはロウソクの火を囲み
同じ土地に生まれ出会えた
不思議な縁を語り合った
それより男として上の命令
従うし他なくて
お前は頭にきて
「よぉけ相手の首刎ねたる」
と息巻き
俺は白い歯を見せた
敵の縄張りを超え矢を放ち
城を燃やし
無心に死体の山を築き
ふとした時ありえん
お前は命を落としてた
俺はむっちゃ悲しくなって
心を痛み
それ以降寺に出家し頭を丸め
もっぺんだけお前に会いたいと
祈っていた多分

敗戦後の生き残り余裕一人きり
闇市で洋モク売って
何故か因縁つけられ
どついて監獄
そこで俺ら出会った
運命的に似た境遇
えぇやん
自分初めて会った気せぇへんわ
まぁ落ち着けやほんま良かった
やがて互いに兄弟と呼び合い
親分もでき盃を交わす
嫉妬やっかみ
よくよくいつから縄張り
さぁ仁義なき戦い
もぉ疲れたわ
俺は麻薬にハマリ呆れて絶縁
施設で生まれて初めて心から
温かい家族をもちたいと願った

俺とあの娘は
約束やサヨナラを
ゆわんと遠く離れた
それを周りの奴が儚く美しいと
感じて手を合わしてくれたから

今2014年2月12日
多分歴史上
一番虐げられた黒人に影響を受け
心臓みたいなリズムにもっぺん
生き抜く決心乗せ生まれ変わる
俺は小林勝行
明日には芋引いとったけど
脈々と受け継がれる負けじ魂
湯水の如く溢れる慈悲
出しっぱなし普通やで
何遍倒されようが何遍でも立つ
泥から芽を出す
永久不滅の蓮の花