志人 X DJ DOLBEE『円都家族』韻考察

 


「いってきます 学校 ちゃんと頑張れよ」
我が子を抱き寄せ 父さんは玄関を出る
「いってらっしゃい」
母さんの優しい声 ガバッと布団をめくられ
まだ 眠たげな まなこをこすり上げ
駄々をこねる
「まぁ お寝坊さん
「えっ もう?」

先端技術に囲まれて
EnTownを過ぎ行く
満員電車紛れては
有り得ない数の人の影を
踏んで歩く ハイエナ
父さんは しきりに時間を気にし
変だ、急がないと間に合わないぞ」と
ジェンガのようなビルのエレベーター
一気に駆け上がる 商社マン
遅刻 ギリギリで カウンターに滑り込ませる
社員証とタイムカード
「おはようございます」
を切らし 勢い良く 一日が始まるぞ
前向きで ひたむきアイディアと
ありがとう」の一言の大事さを
毎時間の様に感じて来た
マイデスクに刻む 再スタートだ
マニュアルを離し ダイヤルを回し
クライアントと抜かりなく 向かい合う
した事ない 大丈夫
同僚をさとす 父さんは時に
やりたくないことまで やらされ
逆らえない上司に頭下げ
騙されたって 腹立てずに
愛する家族の為に 働いて
失敗すりゃ 他人に笑われ
タが為戦いて 金を得
引き返す道は しゃれこうべ
やれるぞ 我よ 諦めなかれ
昼休ビル風に吹かれ
見る影も無くなった
町なみさえ気付かずに
人混みを背景に
濃い コーヒー
ひと飲みする 仕事人
憩いひととき
母さんが君を身ごもり
日ごとに お腹が大きくなってから
居残り残業の後 社長に誘われても
何とか ちゃんと 晩ご飯までに帰る
「父さんは こう見えて
母さんが大好きなんだな」
「なんだ、なんだ、
なかなか 言えないが」

貴方がいてくれたから
開いた心に花が咲き
ささやか ながらの幸せと
真新しい夢追う 我が息子 娘
いつか君は 親元を離れ
都会へ 答えを求め 羽ばたいて行く
月は静かに「好きだ」と
君を付きまとう様に輝いている
見つかりはしない夢もある
胸の鳴る あろう
便りのない便りは いい便り
迷いの風が ようさん囁いてるろう?」

崩れそうな そんな時には
父さんを思い出そう

挫け 疲れ やつれ果てたら
母さんを思いだそう

崩れそうな そんな時には
父さんを思い出そう

挫け 疲れ やつれ果てたら
母さんを思いだそう

お家に帰ろう

よう食べて よう寝て 大きくなろう
大きくなろう 大きくなろう

よう食べて よう寝て 大きくなろう
大きくなろう 大きくなろう

父さん

教室の窓際 後ろから三番目の席で
僕は 退屈そうに鉛筆を 口と鼻で挟んで
あっかんべー 黒板の算数は上の空
明後日の方向から吹いた
めくられたカーテンの向こう側
校庭で笛の音が ほら
授業の終わりを告げる言葉
キンコン カンコン
「じゃぁね、また明日ね」と手を降り
振り返る 二度、三度
散り散りに帰る 家路道
道々 道草 ニコマート
僕は 昨日の あの漫画の続きが知りたくて
一人 児童館にも寄らず
活き活き 急いで 目散
夕ご飯の前に 犬の散歩
母さんは 僕の体操着の裁縫
終わらせて 財布を持ち
さぁ 行こう」と
ぐっすり赤ちゃん ゆっくり ゆすり
抱っこ ヒモくくり 靴紐 結び
買い物 冷蔵庫に無いもの メモ取り
迷子の迷子にならない様に手を取り
ワンコの あんよに合わせて歩もう
今晩のおかずは坊や 何にしましょうか?」

サイコロステーキ 安いよ 安いよ
サンマも 大漁買い得だよ
綺麗な奥さん たくましい坊ちゃん
よってらっしゃい 見てらっしゃい」
父さんは決まって 家に帰ると
すぐに ネクタイを外して
黄色い液体をグラスに注いで
満ち満ちる 泡にたまげた 白ひげ父さん
黙ったまま 「のこった のこった?」と
テレビの向こう側 大相撲
制限時間 一杯になった力士の様子を
酒のサカナにヤケのやんぱち
七時を回り 一周したチャンネル
今日は 日本シリーズのある日

「今シーズンの巨人軍の好珍プレーの
ハイライトよりも キョンシーが見たいやい
はいはい 良い子は もう寝ましょう
明日に備えて 歯こう
パジャマに着替えて 宿題 仕上げて
ハイハイ ドードー ハイドー
父さん 疲れた もぅ最後 あぁ 良い湯加減
「赤ちゃんみたいね 」
ありがとうさん かあさん にいさん
ねえさん じいさん ばあさん 出た
夢から醒めりゃ 「えっ、もぅ朝

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