KOHH『Untitled』ジャケットの元ネタについて

2019年に発売されたKOHHのアルバム『Untitled』このジャケットデザインには元ネタがあります。

この記事では、元ネタ紹介とデザインの背後にある意味やメッセージを探ります。

Adrian Piper『Everything』

アルバム『Untitled』の元ネタは、エイドリアン・パイパー(Adrian Piper)の『Everything』という作品です。

『Everything』は大きな作品群であり、様々な形で表現されています。

ジャケットの元ネタとなっている作品は、方眼紙にプリントされた写真の顔がすり減らされ「Everything will be taken away(すべては奪われる)」というテキストがプリントされています。

これは、鑑賞者のアイデンティティや、人・物との繋がりについて考えるきっかけを提供しています。

エイドリアン・パイパーは、このシリーズで、「Everything Will Be Taken Away」というフレーズを繰り返し使用しています。このフレーズはパイパーが重要視している人権侵害や人種差別、政治的弾圧など、社会的不正の問題に対するメッセージも含まれていると思われます。

KOHHと『Everything』の共通点

KOHHのジャケットには「Everything will be taken away」のテキストに代わり「Why didn’t you tell anyone?(なぜ誰にも伝えなかった?)」「No one asked.(誰にも聞かれなかったから)」と記されています。

このテキストはアルバム『Untitled』が予告なしにサプライズリリースされたこととも繋がっているように思えます。

また、アルバム『Untitled』を締めくくる楽曲『ロープ』は、「Everything Will Be Taken Away」に共通する他者や社会との繋がりをテーマにしています。

この曲は、傍から見ると大成功し、自由に生きているように思えるKOHHでも、我々と同じようなしがらみを感じていることに衝撃を与えました。

ロープ
見えないロープに縛られている俺達
見えないロープ
見えないロープに縛られている俺達
全然見た目は違うけど同じ


人種差別とアイデンティティについて

エイドリアン・パイパーの作品は、人種差別やアイデンティティに関連するテーマを探求し、これらの問題に対する対話や内省を促しています。

パイパーはアフリカ系アメリカ人の血を引いており、『Mythic Being』(1973年〜)では、パイパーがカツラと口ひげを付け、男性アフリカ系アメリカ人に扮し、労働者階級や敵対的な男性の象徴として公の場でパフォーマンスするものでした。

この作品では、人種やジェンダーに関する固定観念に期待し、それが人々の行動やアイデンティティにどう影響を与えるかを実験しています。

 

一方でKOHHはアイデンティティといて一貫して「自分に正直に生きること」を主張しています。

憧れを受ける側になったKOHHは、どんなに憧れ、真似ても「他人にはなれない」ことを淡々と説いてます。

人種差別についても「ダサい事」として冷めた目線を送っています。

肌の色とかで差別してる人まだいんの?
仲良くしろ バカ 絶望してから夢と希望
たまにディズニーランドとか行こう 

KOHH『LOVE feat. sequick』


白と黒 青と赤
男と女とあとオカマ
好き嫌い、差別しない
って思ってるけど本当はしたい 

KOHH 『Monochrome』


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