R指定、神門『ツイート』を紹介

2021年11月2日のCreepy Nutsのオールナイトニッポン0にてCreepy Nutsのお二人が神門『ツイート』について語りました。

 

DJ松永:Rさんの日本語ラップ紹介にね、まいりましょう。

R-指定:今回はね神戸のラッパーの神門さんっていう。何曲かこのラジオでもかけましたけども。

DJ松永:素晴らしいラッパーですよ。

R-指定:新しいアルバム『半袖』というのがすごくて。

DJ松永:いつ出たの?

R-指定:これはね今年、最近です。

DJ松永:結構さ毎アルバム ボリューム量っていうか、作品の重さ半端じゃないけども。結構なペースで出ているよね。

R-指定:すごいし、日常を切り取ることで「こんなにすごい作品になるんや」っていうのを神門さんは毎回見せてくれるし。

今回も「えっ!それをテーマに扱って1曲にできるんや!」っていう。

たとえば、『L1歩行』っていう。これなんかは道端ですれ違う人がお互いに道を譲ろうとしてディフェンスし合うみたいになるっていう。それだけで1曲作るみたいな。

DJ松永:ええっーー!


R-指定:だから普通にアーティストとしての葛藤とかの曲もあるけど、日常をこんな視点で切り取ることで日々が豊かに見えてくる。それが最近の神門さんの作品の特徴で。

DJ松永:それってさ、もう作詞能力  要はくそエグいっていうことだよね?

R-指定:もうね、飛び抜けてますね。「作詞」っていう面で。

ラッパーってこんだけのトピックを扱えるんやっていう。

俺は、ラッパーがTwitterでなんか言うのはもったいないなって思う派なんですよ。

リリックでそれ聞きたかったみたいな。ただそっちの考えっていうのもあるんやって思った曲があるんで。ちょっと聞いてほしいんですけども。

神門さんのまさしく『ツイート』っていう曲なんですよ。

DJ松永:へー!

R-指定:そのツイートに関しても1曲、それだけでで曲を作るんや、みたいな。

「ラッパーがツイートでなんか言うな」とか「Twitterしている暇があったら」っていう1ラインで収めるんじゃなくて、そこにラッパーとTwitter、ひいては人間とTwitterとの付き合い方とかっていうのをそこまで多角的に見て1曲にできるの?みたいな。

その中で出てくるフレーズが今のいろんな価値観をアップデートさせていかなあかん。

いろいろと世の中が変わっていくことに対しても神門さんの視点で言っていて。

俺は「そういういろんな角度から見てやっとこの言葉にできるんやな」っていうのを思いましたね。

ちょっと聞いてほしいです。神門さんで『ツイート』


R-指定:という楽曲なんですけども。

DJ松永:なるほどねー。

R-指定:なんかツイートとは言っているけども、1個の表現・意思表示やったりっていうことをすごい大切に扱っている人やからこそいろんな目線から見れるっていうか。

“アップデートにかかる時間は許容しない” とかそういうラインとか。

“傷つかない世の中は傷つくことを忘れる” とか。こういうひとつの出来事を変わっていくことの良さとでも、その変わっていく先にあるものみたいなところまで見て、全楽曲がそういう目線でつづられているんですよね。

だからすごい日常の小さいところから、こういう風に広げていって1枚のアルバムにするというこの手腕とか。その目線の豊富さ。

だからどれがいいとは言わず、とにかくいろんな角度からひとつのものを見て歌う。

これは、背筋が伸びますよね、こういう人がいると。

DJ松永:たしかにな。ずっと曲が作れるんだろうなこういう人は。

R-指定:神門さんの『ツイート』でした。

 

R-指定:この神門さんの『半袖』っていうアルバム。実はCosaquさんっていう梅田サイファーのエンジニア、そのCosaquさんが一緒に作ったらしくて。

DJ松永:そうなんだ。

R-指定:ミックス、マスタリングもエンジニアリングも全部やって。

DJ松永:そこまで?本当にがっつり密にやっているんだ。

R-指定:実は結構噂にはなっていたんですけども、神門さんの制作方法がヤバいっていう。

僕もちょっと記憶は定かではないんですけども、この人アルバムをめちゃくちゃ出しているわけですよ。

10枚目が今回の『半袖』なんですけども。2007年デビューで。

DJ松永:もう10枚出しているの?

R-指定:それでシングルとかも含めたらもっとだと思うんですけども。

ある作品ぐらいから、全部アルバムを一発で録るっていうか、アルバムの頭からケツまでをブースから出ずに録るんですよ。

DJ松永:え?

R-指定:普通ね、レコーディングってサビだけ録るとか、1番を録るとか。バラバラにして録る方法とかあるんですけども。

その日によって最後の曲から録ったりとか、1曲目はまた別の日にとかあるんですけども。

神門さんはあるアルバムから、1曲目からケツまでブースから出ずにずっと、だからワンマンやっている感じでブースでずっと録ってっていうやり方をやっていたらしくて。

DJ松永:じゃあ1曲目が一番まだ喉が開ききってない状態で、そこから開いていって、最後はちょっと声が枯れていくような流れまでも全部?

R-指定:そこの感情とか震えとかも大事やからっていうのがあるらしくて。

DJ松永:だからもう曲順もそれを見込んだストーリーになっている。

R-指定:曲順も絶対大事というか。

DJ松永:たぶんその喉の状態とか、ライブのセットリストを作るようにして?はえー!すげえ!

R-指定:アルバムによってその作り方はばらつきがあるらしいねんけども。

たとえば最初なんかはリリックの時点が一番すごくて、レコーディングの時にそれが薄れてしまうのが嫌やからワンテイクだけにしてた時期もあったり。

逆にワンマンみたいに頭からケツまでやる時もあったり。

でも、今回はCosaquさんにチラッと聞いたらやっぱりホンマにそういう感じっていうか。

で、それが一発だけじゃなくて、それを何回もやるんですよ。頭からケツまで歌うのを何回もやって。

DJ松永:うわーきっつ。ちょっと待って!それ1日で録り切るっていうこと?

R-指定:だからその日に頭からケツまで録って、無理やったら また別の日に来てまた録ってみたいな。

DJ松永:そういうこと?

R-指定:その日に何回もやることもあるやろうけど。

そんぐらいね、制作に関してとんでもないこだわりがあって。

それが1曲目の『創作』っていう曲から始まるんですけども。


それ自体も曲のやり取りをしているエンジニア、まさしくCosaquさんとやり取りをしているメールの話から始まるんですよ。

「ここの感じのブレス、ちょっとあれなんでこうしておいてください って今、送ったメールのあの文章、よかったかな?」みたいな。

制作に対して、そんぐらいの気持ちで取り組んでいる。

“制作の神様がいるとしたら、文字ではなく半角スペースの中” とか やり取りのメールで。

DJ松永:なるほどね。

R-指定:”制作の神様がいるとしたら、声ではなくブレスの中” とか。そういうのから始まって、制作とかの話になって、ツイートの話になって。

ラッパーの話もするけども、家庭の自身のお子さんの話とかもするし。

何気ない道ですれ違う時にディフェンスみたいになったとかその1日も切り出すし。

ちょっとその作詞家としての世の中を見る目の鋭さっていうか。

DJ松永:なんか全部見えている。細かいところまで。

みんなが当たり前に見ようとしているところまで全部言葉にできるというか。

R-指定:これってめっちゃしんどいんすよ。

歌詞を書く人間として1個の出来事とか世の中で見えていることを。

俺とかは「目が悪い方がいい」っていうことでメガネをせんぐらい、情報をある程度遮断したいぐらい考える人間からしたらめっちゃ全部見て、全部考えてっていうのはめちゃくちゃしんどい。

それを毎回やっているんやっこの人はていうことで。マジで背筋が伸びますね。

DJ松永:すごいね。

R-指定:マジですごいラッパーです神門さん。

DJ松永:でもここまでいくとあれだよね、言葉を扱う仕事ならなんでも素晴らしい人になっていたと思うよね。

文章を書く人だとしても、歌を歌う人だとしても。

R-指定:すごすぎて、俺がラップ始めたての状態で神門さんを聞いたら、ちょっとキツかったかもなって。

食らっちゃいすぎて、聞く側も結構足腰がいるというか。

いろんな人間の感情を受け止められる足腰が出来上がってないと、すごい心をえぐられますね。

そんぐらい、良いすごい作品です。

DJ松永:すごいねー。

 

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