2021年8月24日のCreepy Nutsのオールナイトニッポン0にてCreepy Nutsのお二人がAwichKvi Babaの『Fool in the Moon』について語りました。
R-指定:今日紹介するのはKvi Babaというラッパーです。大阪のね
DJ松永:大阪なの?
R-指定:そう、大阪なんですよKvi Baba。しかも99年生まれめっちゃ若いんです。
DJ松永:っていうか、俺ら事務所一緒じゃない?会ったことはないけど。
R-指定:会ったことはないっすけど。大阪なんですよ。
言うたら「エモラップ」っていう海外でSoundCloudを発端にして広まった、ヒップホップの中でもひとつのジャンルとして定着しているエモラップという。
浮遊感のあるメロディアスなラップではあるんけど、その中身は内省的で。
どっちかっていうと鬱っぽい内容やったり、あとは海外のラッパーで言うとドラッグにハマっていく様を描いたり。
その感じ、落ちて沈んでいくところを甘美に描いていくみたいな側面があったりするのがエモラップというもので。
DJ松永:ダウナーでメロディアスで、ちょっとロックでみたいな感じだよね。
R-指定:で、めちゃくちゃ内省的みたいな。
だから一説によるとカートコバーンとか、そういう人たちが表現していたものを今の若者たちがヒップホップで表現しようとしているみたいな。
そのある種エモラップ的な方向性で注目されたのがこのKvi Babaで。
Kvi Babaは、めっちゃメロディアスでメロディーメーカーとしてもすごいんですけども。
その新しいEPかな?それが俺の中ではより、元々すごかったんですけども。ダウナーに落ちていくその甘美な美しさプラスその先により開かれた光のある感じのポジティブな表現に変わっている感じがして、それがすごいよかったと思ったんすね。
『Toge ni Bara』というEPの1曲、その中からまずは聞いてもらおうと思います。
Kvi Babaで『Fool in the Moon』
R-指定:というね、この感じが俺はすごい新鮮で。
DJ松永:うぁー意外だったわ。
R-指定:あと、元がそうなんでしょうけども、韻が固いなってのをすごく思ったんですよ。
サビも
今夜は馬鹿になって踊っていたい
混乱の中にいたって踊っていたい
って言って。その後に「無邪気になる」って言って、もう1回「今夜は馬鹿になって」っていうフレーズが来るんですけども。
無邪気になる
今夜は馬鹿になって踊っていたい
混乱の中にいたって踊っていたい
酔いが覚めるまでの間
今はDancing in the Moon
「無邪気になる」と「Dancing in the Moon」の韻。
この、メロディーとしても韻もがっつり捉えているっていう今の感じもするし。
J-POPの中に長い韻を忍ばせてきたアーティストともなんとなく通ずるところもあるし。
でも、始まりから実はガチガチにロングライムの曲なんですよね。
満たされない
痛さに 満たされてる今は
足りてない何かが
味気ない何かが
ってめっちゃ踏んでいるんですよ。
DJ松永:ふぇー。
R-指定:その後に
考えてるどうすりゃいいか
思考回路がどん詰まりさ
ってずっとこの「ouaia」っていう音で踏んでいくっていう。そのテクニカル的な面でも「おっすげえ!」ってなって。
で、上がったのが2バース目の最後。サビに入る前に「Hey おはようさん」って。この「おはようさん」っていう言い方がやっぱ大阪なんやって。
DJ松永:なるほどねー。
R-指定:こういう方言の使い方ね、めっちゃおしゃれに聞こえるんやけども。これおっちゃんとかおばちゃんとかの「おはようさん」っていう感じですから。
これをこんなにきれいに聞かせるっていう。とにかく技量も素晴らしいというか、いい曲でした。
DJ松永:本当びっくりした。いい曲だわ。
R-指定:Kvi Babaでした。
DJ松永:なんかあの感じとは全然思わなかった。
R-指定:俺ももうちょっとダウナーな感じで、浮遊感のあるメロディアスで、でもその病んだところから立ち上がろうとする内容みたいな、実際にそうやったはずなんですよ。
DJ松永:俺、NORIKIYOさんとかとやっている曲を聞いたのかな?あと、ZORNさんともやっているよね。
R-指定:だから結構経歴もすごくて。19でぐらいでZORNさんに当時で言うと大抜擢な客演で。
DJ松永:ZORNさんが「ヤベえ」って言っていたんだよね?
R-指定:それこそ、般若さんの武道館の時に本番前にZORNさんとしゃべっている時に「なんか最近、いいラッパーいた?」ってZORNさんに聞かれて。「誰がいますかね?ZORNさん、誰かいました?」「大阪だからR、知っているかわかんないけど。Kvi Babaっていうやつがいて」「知らないです。どんな感じなんですか?」「まあ、完全に俺にはできない感じだね。ちょっと一緒に曲とか作ったんだけど、ヤバいよあいつ」みたいな感じで。そこではじめて俺名前を聞かせてもらって。
DJ松永:そうなんだ。俺、本当に大阪だとはマジで思わなかった。大阪のどのへんにいたの?
R-指定:茨木みたいなのをプロフィールに書いてあったね、大阪の茨木市っていう。
DJ松永:大阪のシーンにいたわけではないっていうことなのかな?
R-指定:でも、言うたらインターネットでそういう曲を上げて名を上げた人なのかな?
現場でっていうのは、ちょっとそこは詳しくないからなんとも言えないですけども。
とにかく、そういうダウナーなイメージやったのがこの『Toge ni Bara』っていうEPがすごいポジティブ、簡単に一言で言えるようなポジティブではないんですけども。
とにかく、この開けた感じが俺好きやって。
かつ、ライムの固さがテンション上がったというか。
DJ松永:へぇー。
R-指定:こういうタイプのラップでこんだけライム固いっていうのが。「おぉー!!」って。
DJ松永:はいはい。
R-指定:内容的にはダウナーやった時期を客観的に描いた歌詞とかもあるし。
DJ松永:へぇー。
R-指定:全体的に凄い良い曲が多いですね。『Too Bad Day But…』はシンプルに超良い曲やったり
DJ松永:ああ、これはシングルになっているやつね。
R-指定:そうそうそう。
ヤワじゃないのもなかなか、もしかしたらエモラップという形ではくくることができへんぐらい、もう1個先にオリジナリティーみたいなのがあっていいなって思いました。
DJ松永:俺『Fight Song』をめちゃめちゃ聞いていたんだ。
R-指定:はいはいはい、それとまた違った方向っていう感じ。
DJ松永:俺、こっちのイメージだったんだよな。
R-指定:俺も言うたらどっちかというとそっちのイメージやったから、こっちもめっちゃいいなって思いましたね。
DJ松永:へぇー、いっぱいいるね。素晴らしいラッパーは。
R-指定:ほんま、すごいわ。
DJ松永:同じ事務所とは思えんな。繋がりがなくて会わないもんね。
R-指定:そやな、お会いしたことないし。
DJ松永:スタッフとしか会わないもんな俺ら。
R-指定:特にこの時期にになってからより。
DJ松永:俺、このEP聞いてみるわ。
R-指定:めちゃくちゃいいです。
DJ松永:楽しみ。
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