ralph『Nine Stories』サンプリング・リリック考察

ralph – Nine Stories

ralph『Nine Stories』には、数字を用いた巧みなワードプレイがあります。

リリック中に登場する「2」「4」「6」「9」「11」は、「西向く侍(に・し・む・く・さむらい)」という語呂合わせになっています。

「西向く侍」とは、月末が31日ではない“小の月”、「2月・4月・6月・9月・11月」を指します。
また、「十」と「一」を縦に並べると「士(さむらい)」に見えることから、「西向く侍」という表現が生まれました。

東京よりやや西の地元から飛び出し戦う様を「西向く侍」と表現しているかもしれません。

昔から変わんない
才のまんま
面楚歌の
ロクでなし
Nine storiesに加えな 俺のLIFE
今 feel like a シーモア
いちいち死ねる暇もない
西向く侍 

また、サリンジャーの短編集『Nine Stories』に収録の「バナナフィッシュにうってつけの日」には、「シーモア・グラス」という人物が登場します。

シーモアは、兵役の経験によって心を病み、最後に悲劇的な結末を迎えます

楽曲中で描かれる、戦ってきたralphのリリックは、この「シーモア」の物語と重なる部分があります。

そして『Nine Stories』は、The Congosの『Fisherman』をサンプリングしていると思います。

リリックでも、地元神奈川から多摩川を越えて東京に出ることを「fisherman」と表現しています。

地元に居たいのなんか山々
だけどそれじゃ何も変えれないから
超えた多摩川
まるで fisherman
乗りこんだ船はEssex 

『Fisherman』と『バナナフィッシュにうってつけの日』どちらも海辺を舞台にした作品で一貫したテーマを感じます。

 

ralph – Nine Stories 

The Congos – Fisherman

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