「WREP 第三研究室」において、ZEEBRAさん、MUMMY-Dさん、AKLOさんがAKLO『Maze』について語りました。
隙間をどう作るかの美学
AKLO『Maze』について
Mummy-D:こぉーれはさ、まずラッパーとしてこのむちゃくちゃシンプルなBeatをもらった時、どうすんだ??っていうさ。
どう凌ぐか非常に難しいタイプのBeatだけど。
ラッパー力量が問われるだけに、やり甲斐はむちゃくちゃあるじゃんよ。
AKLO:本当ですよね。
Mummy-D:テンポ80ぐらいかな、そんで音なんてちょっとしか鳴ってない中で、どう刻んでいくのか。
第1回目の時に言ったけど、今まで16で刻んでればよかった原稿用紙にマスがいっぱい並んでたのが、急に自由帳渡されちゃったみたいな。
AKLO:あはは(笑)
意外とトリッキーな乗せ方した感じですね。
Mummy-D:これがAKLOのね、、AKLOだったらこうやる!ってのが格好良すぎて。
まぁ3連を使って乗り切っていくんだけど、ずーと3連を刻み続けていくんじゃなくて「そこ?」っていうタイミングで辞めたりするんだよ。
Zeebra:うんうんうん。
Mummy-D:隙間をどう作っていくかの美学みたいなところはかっけーなって。
AKLO:確かに。
ある時期から、まあこの曲はそこまでやってないんですけど “Yah” とか、一時期Dubが流行ってたり。
Zeebra:はいはいはい。
AKLO:あれとかもタイミングを、今まではラップ乗せてたとこをみんな空けてて。
あの感じがただ単に”Yah Yah Yah” からの最近は ” uh yah ay ” みたいなもっと増えててクッションみたいな部分が。
Mummy-D:あぁークッションねー。
AKLO:あれめちゃくちゃオシャレだなぁーみたいな。
Mummy-D:トラップ以降だよねー。
若い子は隙間作って「合いの手の方が聞かせたいんじゃないの?」っていうぐらい合いの手に凝ってるじゃん。
Zeebra:合いの手デカイもんね最近ね。
Mummy-D:ね!あれがやっぱ俺らみたいにずぅーとスピット、フロウし続けちゃおうとするのと全く変わったというか。
AKLO:そうですね。
一時期それの規則性がよかった。
例えばさっきの表ばっかなのにその規則性が良いんだけど、途中から「Yah」とかの規則性には飽きてくるみたいな。
だからだんだん不規則になっていくみたいな。
そうなった時にらさっきまでKickのとこだったのが、Snareのとこで入ってその間はガヤで埋めるとか。
そのトリッキーさが生まれてくるんだけど、どっかで辻褄さえ合わせれば戻れるから、変にズレていくんだけど良い感じに聴こえていくみたいな。
そういうことがオシャレとして出てきてるなと思いますね。
Zeebra:ここ15年、20年ぐらいの期間で「間」をすごく意識するようになって、「間」って何か?って言うとその間オケを聴かせてるってとこでもあるじゃない?
Mummy-D:うん。
Zeebra:だからオケのどの辺にインパクトのある音があるのか。
Mummy-D:そこを外すってことね。
やります、やります。、
Zeebra:結局そういうBeatによって「ここにハマるよね」っていうのがあるね。
Mummy-D:逆にインパクトある音に合わしちゃいけないんだよね。
Zeebra:そうそうそう!
罠ですねー。
罠にハマってんなーってデモテープたまにありますからね。
Mummy-D:外しましょうね、そこは。
制作のスタートライン
Zeebra:Beatをもらってない時でもType Beatから始めるって言ってたじゃない?
AKLO:はい。
Zeebra:例えばまったくBeatなくて、こんな曲作りてぇって歌詞書きだすってこともあるの?
AKLO:それはやっぱりType Beatがないと。
Zeebra:スタートはしていかない感じ?
AKLO:やる気が出る前にType Beatで気持ちのMoodに合うものを探してからなんですよね。
そこがやる気が出る途中なんで。
Type Beatは常にいっぱいあるって感じなんですけど。
Zeebra:うんうんうん。
例えばさ、普段生きててさ変なフレーズが思いついてしまう瞬間みたいな。
Mummy-D:ありますね。
Zeebra:そういうのからリリック書くみたいな事はあんまないの?
AKLO:例えば前回話した「No limit」みたいなのやりたい!みたいな。
それだと漠然とし過ぎてるから、No limitの中でもそういえばこういう曲あったなとか、色んな昔のやつ聴き漁ったりして、この感じでこの音は入れたいとか。
それを全部パッケージしたものをBACHLOGICに渡して。
Zeebra:それでBeatが上がってきてからリリックは書く?
AKLO:そんな感じですね。
Mummy-D:色んな作り方あんだねー。
人それぞれ、十人十色だね。
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