ZEEBRA&MUMMY-D、AKLO『Too Fast』を研究・解析|音的に格好いい選択が出来る制作方法を語る(ゲストAKLO)

WREP 第三研究室」において、ZEEBRAさん、MUMMY-Dさん、AKLOさんがAKLO『Too Fast』について語りました。

 

ニュー・ウェストのリバイバル感とキーについて

 

Zeebra:今日はこの曲を研究対象にしようということで。

Mummy-D:そうですね『Too Fast』という曲を。

これ結構推しの曲だったのかな?

Zeebra:そうですね、色々掘り下げようと思います。

AKLOで『Too Fast』

 


 

Zeebra:ということで、本日もゲストにAKLOが来ております。

AKLO:どうもー。

Mummy-D:まずね、この曲に関しては、BACHLOGICもAKLOもTygaの『Tast』を参考にしてると思うんだわ。

 


 

Mummy-D:あれってずっとテンポが60とか70だった世界が101,102ぐらいが急にドーンと出たわけよ。

AKLO:そうですね。嬉しかったですよね。

Mummy-D:俺もちょっと嬉しかった「ありなんだ!」ってなったでしょ。

Zeebra:この辺の流れってニュー・ウェスト以降、Mustardがこのテンポ感をありにしてくれたよね。

Mummy-D:そうだね。

Zeebra:ベースラインが中心でやっていく曲みたいな。

Mummy-D:そうだよね、だからこれはさ俺聴いた瞬間に「うわぁーブラックミュージックー!!」

AKLOZeebra:あははは(笑)

Zeebra:わかるわかる!!懐かしかったよね。

Mummy-D:またその流れを汲んでアレンジして出したなと思って。

AKLOはTygaみたいな感じじゃなくて、ピッチつけて歌ってるじゃん?

AKLO:そうですよね。

Mummy-D:オートチューンかましてるのかな?

AKLO:そうです、そんな歌っぽくはないんだけどピッチ感があるってことですよね。

Mummy-D:うんうん。

でね、ピッチ感がね『Too Fast』だとキーが決まってるんだけど。

キーのとこじゃなくて、キーが「ド」だとしたら「ド・ミ・ソ」で「ソ」のところでずっと歌ってんだよ。

「五度」というやつ。

 

 

Mummy-D:「五度」でずっと歌うっていうのは、ちょっとだけ斜め向きなが歌ってるっていう、B-boyスタンスに聞こえるのよ俺にとっては。

Zeebra:はいはいはい。分かりますよ。

Mummy-D:そのへんが狙ってやってるのか、ラッパーって自分が得意な音域あるじゃん。

Zeebra:あるね。

Mummy-D:こっからここら辺までは出すけど、これ以上出すと高すぎて恥ずかしいとか。

これ以上低いと密度が、声量足りないとか、Liveで歌えないとかさ。

だから上手いとこハマったなって思ったんだけど。

AKLO:これに関しては確かにTygaとか流行ってて、こういうのいいよねって話はしてたんで、このトラックが来た時は正直俺もTygaっぽいなとは思ってたんです。

Mummy-D:テンポ的にもね。

AKLO:こういうのやりたいなって、それがフレッシュに聴こえてたから、そういうのやるのは面白いなと。

先月話した「No limit」に似てて、リバイバル感をもう一回出来るという。

 

 

AKLO:「No limit」って昔、サウスのMaster Pとかそこら辺の(レーベルの)バイブスをリバイバルじゃないけども。

Zeebra:イケてる感じのね。

AKLO:そうです、そこ大好きだし、そういうのやりたいって元々言ってたんで。

 

AKLO:今回のアルバム、意外とそういう要素があったりするんですよ。

Zeebra:うんうん。

AKLO:あと「五度」ってことに関しては、そこまで意識してないし、BL君も五度がいいよって感じでもなかったんで。

多分、俺の声のちょうど一発目でハマったのがそこだったのか。

Mummy-D:ラッキーだったんだよ!

トラックに対してどうしても高さが見つかんないトラックとかあるからさ。

Zeebra:見つかった気になってやってみたら俺の声と合わねーわみたいなのもね。

Mummy-D:「今回の俺可愛くて嫌なんですけど!!!」とかさ(笑)

Zeebra:難しいですよねー。

 

 

AKLOの制作方法

 

AKLO:曲書く時にどういう事が行われてるかと言うと「リリック書く」みたいな作業って実はREC終わってから始めて書いてて。

というのも、フリースタイルでRECするわけではなくて、書くんですけど文字にはしないんですよ。

Zeebra:譜割りだけとか、フロウだけ先に?

AKLO:じゃないんすよ。

もう最初から家にマイクがあって、パソコンがあってそこにDAW。

とりあえずトラックもらったらRECボタン押して”死にかけてこそ今 Alive” でストップ。

Alive” でなんか踏めないかなーとか考えて。

こっからゆっくり書くのと一緒でRECしていくんすよ。

Mummy-D:へぇー。

AKLO:そこから次のフレーズを考えて、それを組み立てていくんすよ。

だから書く時間ぐらいかかるですけど、そうやって組み立ててBPMに合わせると、グリットって言ってどこが1拍目でどこが2拍目っていうのが分かるし。

どこにハマった時に3連譜になってるのかって、ビジュアライズした状態になって分かるっていう。

Zeebra:はぁーそういうことか。

AKLO:DAW上で見た自分の波形でこれだ!みたいな。

Mummy-D:「DAW」ってのは「デジタル・オーディオ・ワークステーション」かな。

要するににパソコンの音楽ソフトですね。

説明しちゃったな、これぐらい知ってて当たり前ですよねこの番組ね!!!

Zeebra:そうですね(笑)

AKLO:ラップを書くって作業が俺の場合だと基本的にRECして書き込むみたいな。

1小節ずつ、ゆったりゆったりと。

だから継ぎはぎになっていくんすよ、超細かい。

Zeebra:それってさ、それが最終的な音源になるの?

AKLO:仕上がってやっと書くっす。

ある程度バイブスでいってるんで、文字起こしして「思ったよりここの韻甘ぇーな」みたいなのが出てきちゃうんすよ。

普通に書くのと何が違うかと言うと、音的にはめちゃくちゃ格好いい選択が出来るんですけど、リリック的には勘違いで進んじゃってるパターンもあって。

後で書いてみて韻が甘いことに気づいて、そういう時はリリック書くモードで修正したりとか。

Zeebra:それって結構始めのころから?

AKLO:いや、Lil Wayneがそのやり方でやってる映像みたいなのが前あって。

Mummy-D:へぇー。

AKLO:Lil Wayneみたいな奴でも自分でRECしてんだとか思って。

しかも滞在先のホテルの部屋で「やらないといけないから」とか言って自分でマイクセットして。

スーツケースから取り出して。

Mummy-D:ふははは(笑)

Zeebra:Lil Wayneが。

AKLO:Lil Wayneの場合、走れる距離が長くて、「そんなに一気に思いついてんだ」って感じなんですけど。

俺はもっとスライスされた、本当に書くって感じなんですけど。

Zeebra:はいはいはい。

 

メロディ作りの苦悩

 

Zeebra:俺とかも書く時さ、なかなかリリック帳に書かなくて、頭の中で6〜8小節できると始めて書こうかなって思う。

Mummy-D:その後録ってみるの?

Zeebra:録りはしないな。

1番最後にバースが出来上がった段階で録ってみる。

自分のとこで、GarageBandとかで。

Mummy-D:俺さ、ジブさんと安室ちゃんとかとやった『Do What U Gotta Do』のさデモが来たときにジブさんバースだけ入ってたの。

そのデモの名前に「近所迷惑防止mix」って書いてあって(笑)

Zeebra:なんだっけそれ?

Mummy-D:聴いたら、コソコソ歌ってんの(笑)

Zeebra:そういうことか(笑)

Mummy-D:住宅事情はいろいろですからね(笑)

Zeebra:昔はさ、今みたいにパソコンでちゃっちゃ録れない時代は、MTRとか出してきてやるのも大変だったから。

Mummy-D:やんない、やんない。

Zeebra:でしょ?だからね夜リリック書くじゃない、書いて次の日見ると「これどうやって歌うんだっけ?」

AKLO:ありますねー。

Zeebra:それは確かに録りながらやったほうが確実で、だから俺も一晩リリック書いて最後寝る前にちょっと録って、次の日聴いみて「うわぁダサっ」

Mummy-D:ふははははは(笑)

俺もさ夜思いつたサビのメロとかあるじゃん。

Zeebra:はいはいはい。

Mummy-D:でも楽譜が分かんないから、当時まだスマホも無かったのかな、録れなかったのよ。

だから、覚えたメロディを階段上の自分なりの…

Zeebra:はははは(笑)

Mummy-D:なんとなくバイブスで!

AKLO:はははは(笑)

Mummy-D:書いてたんだけど、翌朝見るとメロディ全っ然思い出せないんだよ!

Zeebra:あれ恐ろしいやつですよね。

Mummy-D:技術の進歩は本当素晴らしいですよ。

Zeebra:なんとなく思い浮かんだメロディとか、道歩いてる時とかも周りに人いないなって思った時に歩きながら録ったりとかもするから。

Mummy-D:俺も、代々木八幡のね山手通りの下のとこでコソコソ録ってた(笑)

 

 

Type Beatから始まる制作

 

Mummy-D:AKLOはいきなりDAWにいくと!

AKLO:いってとりあえず勇気ある一言から始まり、まだコンセントとか見えてないんですけど。

Zeebra:うんうんうん。

AKLO:だんだん固まっていって、こういう曲にしようみたいな。

もう一回ゼロからRECボタンとか。

とりえず一発言葉をDAWに投げるみたいな。

Zeebra:それってさ、使うBeatは決まってる状態?

AKLO:結構Type Beatの時もあるっすね。

とりあえず自分のハマりたいムードに合うものをって感じで。

Zeebra:最近そのType Beatから制作を始めるって形、完全に新しいやり方じゃない?

Mummy-D:Type Beatってのは、いまいち分かってないんだけど、Type Beatをいろんな所から買ってくるわけでしょ?

Zeebra:あれって「誰の何」みたいなBeat。

Mummy-D:それをそのまま活かすんじゃないの?

それは全部取っ払っちゃって新しい音を足すわけ?

Zeebra:色々あるね。

AKLO:まず、取ってきてるBeatに関してはフリーで落としとくんですよ。

もしそのまんま使うんだったら、例えばJP THE WAVY『Cho Wavy De Gomenne』とかは、リリースする時に払うとか。

Mummy-D:なるほどねー。

Zeebra:「誰の何」みたいな感じで作りたい時それのインストとして。

最近さアレなのよ、昔はさ12インチがほぼほぼリリースされてて、シングルはインストがあったじゃん。

Mummy-D:うんうんうん。

Zeebra:今、インスト探すの超大変だから。

Mummy-D:それはそうだね。

Zeebra:それもあってType Beatがリリック書いてみるやつに重宝されてるってのがあると思う。

Mummy-D:なるほどねー。

じゃあAKLOもそうだけど、まず録ってみるってのは、どの高さで歌うってのが決まるし。

AKLO:あー、そうですね。

Mummy-D:それで自分がいけてるのか分かるから。

俺みたいにひたすら家でブラッシュアップしまくったやつをスタジオに持って行って「ダメだこりゃ全部ダメだ!」ってことないからいいね。

AKLO:そうなんですよ、しかもUADっていうインターフェイスがあるんですけど、それだとリアルタイムでオートチューンとかかけれるんで。

Zeebra:オートチューンかけるときさ、「コード」「キー」「ピッチ」ってあるじゃない、そのへんはどういう風にやってるの?

AKLO:曲を聴いて、分からない人なんですよ、それは。

なんで、探ったりとか、それも出来ないんですよ。

そこの知識はあるんですけど、自信はない。

ただそういう中で、どのキーなのかって解析してくれるプラグインってのがいっぱいあって。

4つぐらい候補が出てきて80%「Em」だよとか。

Mummy-D:へぇー。

AKLO:それに合わせるとしっくりくるな、多分これ合ってるな、みたいな感じで。

トラックにプラグインさして分かるようになってるっす。

Mummy-D:俺は全部エンジニア任せなんだけどさ、ちゃんと自分でやって偉いね。

Zeebra:そうだね。

AKLO:だけどこれが偉いというよりは、ツールって便利じゃないですか。

これがないと最近書けないみたいな。

ノートとペン貰ってBeatもらって、曲仕上げてよって言われたら「いやいやいや、自分の声聞きたいんだけど!!」ってなっちゃってるんですよ。

なんならオートチューンかけたバージョンも試したいし。

Zeebra:うんうんうん。

AKLO:曲を書く前にやっておきたい事がいっぱいあるっていう。

偉いというよりは、色んな物使ってそれに慣れてしまっている。

Zeebra:でもさ、オートチューンを使った上でのクリエイティビティって新しいオートチューンの在り方でもあるから、それは正しいと思うしね。

Mummy-D:みんな使い方上手くなったしね。

Zeebra:そうそうそう。

それをプリセットでやっちゃうとさ、そうじゃないんですよって所にいっちゃうんですけど。

そこをちゃんと分かった上でどれだけイジれるかって話で。

みんな頑張って頂きたいなと思いますけども。

Mummy-D:うん!

 

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