「末端の売人」が独り言いいだしたら「商品」に手出したか音楽はじめたかでしょ。
『スーパースターを唄って。』は売人として生きる17歳の主人公「大路雪人」が身内の死、借金、暴力という絶望的な状況から音楽に希望を見出す物語です。
一見ありきたりなストーリに思えますが、この漫画は徹底的なリアリティにより他とは一線を画します。
それはアナログで描かれた大阪の街並みとストリートの生活、登場人物の緻密な心情描写で読者を惹き込みます。
また、各話のタイトルで日本語ラップの楽曲を引用しており、楽曲の関連性は物語に深みを与えています。
主人公の周りには天才ビートメーカーと天才ラッパーが居るのに対して「雪人」は4年かけ1015冊のノートに心情を書き殴った狂人です。
そんな、どん底に追い詰められた狂人がどんなリリックを書き、どう表現するか、目が離せない作品です。