宇宙を旅する日本語ラップ

圧倒的情報量で世界観を演出するラップは時に地球を飛び出し宇宙を描くことすら可能にします。

そんな映画や小説に引けを取らない世界観を演出する『宇宙を旅する日本語ラップ』をまとめました。

 

不可思議/wonderboy – 銀河鉄道の夜


「銀河鉄道」様々な物語で登場するものですが、この曲では主人公は銀河鉄道に乗るのではなく”銀河鉄道のレールを作る男”です。

その男と地球で帰りを待つ女性の手紙のやりとりを描いています。

舞台は宇宙であっても内容はごく普通の男女の遠距離恋愛の話、好きな仕草や顔、声など2人だけの小さい世界です。

それは技術が進化し、人類が宇宙に行った後も不変の美しい愛情を描いた曲となっています。

 

「ラブリー・ラビリンス」収録 

 

PUNPEE – 宇宙に行く


“不祥事あると地球じゃ公開処刑” 

今朝のニュースも スキャンダルばっか並んで つまんね

地球に嫌気がさした主人公が宇宙の旅を謳歌するという曲です。

しがらみから解放され自由となったと思えたのだが最後に待ち受ける結末とは…?

 

“冥王星の手羽先を頬張りながら 火星の子と手繋いで”

“肌がGreen 膣が3つある女子たちとポテトチップス Netflixで 無重力”

食べ物や女の子を堪能する描写ではPUNPEEらしいアメコミ・映画ネタが盛り込まれています。

(元ネタは『宇宙人ポール』や『トータルリコール』あたりでしょうか)

 

“エイリアン達がもし 襲ってくれたら
地球はひとつになるかもしれね”

離れた地球に想いを馳せるリリックは『ウォッチメン』のストーリーをイメージしているそうです。

 

ちなみに、ラストのコーラス部分はPUNPEEが20人分一人で歌っているそうです。

 

「MODERN TIMES」収録    

 

 

 

Shing02 – 星の王子様


地球と飛びだした星の王子様が太陽系の惑星を旅するという11分超えの超大作です。

それぞれの惑星にはそれぞれの価値観があり、そこでの学びや環境意識の芽生えが、最後に主人公が導き出す「答え」に繋がります

金星人との会話によると地球は“空気がありすぎてパンクした星”と語られていることや、自分のことを “武力行使の惑星から逃げ出した宇宙飛行士”と綴っていることから環境破壊と争いの成れの果ての世界を描いているのが分かります。

アウトロで黒澤明監督作品『生きものの記録』をサンプリングしていることからも、核によって放射能汚染された地球を描いているのかもしれません。

最後に主人公が導き出した答え(自分の声)は

「ぼくは 恋しい
おいしい 空気
音と匂いと 形と色が
水と草と 動物と人が
夜明けと夕方と 昼と夜が
春と夏と 秋と冬が」

これは主人公と太陽と地球の三つだけになった時に導かれた声で「何もかも無くなった後に気づいても遅いと」警鐘を鳴らす曲でもあります。

 

 

「緑黄色人種」収録 

 

B.I.G. Joe – Midnight Express


 

B.I.G. JOEというラッパーは心理描写と情景描写の表現に長けており、それを駆使したストーリーテリングにも大きな魅力があります。

『Midnight Express』はアルバム『THE LOST DOPE』に収録されており、B.I.G. JOEがオーストラリアで服役中に制作されたアルバムです。

 

『THE LOST DOPE』   

 

そのためラップは刑務所からの電話越しで録音するか、無理くり修理したカセットテープに録音して作ったそうです。

音質としては最低の環境だと思いますが、刑務所という環境下で持たざる者が持てるものだけを駆使しクリエイトする。

それはブロンクスというゲットー地区で持たざる者が集まり街頭の電源を使ってパーティーを行ったHIPHOPの起源に繋がる精神です。

 

刑務所という閉鎖的な環境にいる人間が作ったとは考えられないほど、大規模で美しい地球の営みを描写しています。

“神々しい太陽の光の営み
命の源、水の小波
希望のように咲き、香る花の微笑み
この星を守ろうとする虫たちの囁き
大気にオゾンのベールを張る森林
生命を育み続ける海
その上空を自由に飛び回る鳥
嗚呼、美しい。
なんて美しい星なんだ”

これほど美しい表現ができたのは、B.I.G. JOEが刑務所という閉鎖的空間で内省的思考を繰り返すことで、広い世界を想像することが出来たのだと思います。

この「想像力」こそがこれから人類が進むべき道を開く鍵になるとB.I.G. JOEが曲中で歌っています。

“神は俺たちに想像力を与え
それをどう使うのか
見守っているはず

苦しみ 傷付け合うために使うか
愛と美しさに満ちた世界を創るか”

 

このような人間の真理を考えることについてB.I.G. JOEの自伝『監獄ラッパー』ではこう綴られています。

「普遍的な真理は変わらないもので、兄弟愛や、死生観というような、生きていくうえで考えなければならないトピックは前以上に熱く語ることができた。逆に生きるうえでさほど必要のないもの、たとえばパーティーとか、贅沢なテ ーマについてはあまり書けなくなった。

 

地球の営み、人間に真理について表現されたこの曲のラストは、Midnight Expressに乗って宇宙まで視点が広げられます。

“サザンクロスを流れる、水を受け
アンドロメダの雲の上に乗って
カシオペア座から風に吹かれ
オリオン座の向こうへ進んでゆけ。

白鳥座のような翼に抱かれ
昴の煌めきに導かれ
大熊座の群れにさよならを告げ
天上の向こうへ進んで ゆけ”

 

『Midnight Express』はシングルカットとして新たに、 DJ PERRO a.k.a DOGGとO.N.O によるRemix Verも制作されています。

『Midnight Express』   

 

 

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