志人『自然生 ~ 何処へにも行かず此処で踊れ ~』韻考察

『自然生 ~ 何処へにも行かず此処で踊れ ~』は詩、ラップ、歌の境界線が曖昧な志人独特の世界観が造られた曲です。

日本語がもつ美しさと儚さを感じるリリックに、「これほど日本語で踏める言葉があるのか」と驚き。

絶え間なく流れてくる言葉の数に圧倒される楽曲です。

 


 

 

地上に存在するすべてのものと
自己とが同じ宿命に繋がり
同じ根を持つ同根の存在であると
そう感じずにはいられない
なぜ こんなにも空は青く
同じ星の 同じ時を分かつ人のみが
二度と来やしない今の 今を
祝おうともせずにシラを切るのか
狼狽後悔混在する
巨大要塞ような 都会の中で
競売にかけられた 森の容態を見る
医者は何処かにいるのだろうか
いずこかの ビルの窓 に映る秩序など
崩壊した人類のにて をなぞるナルシズム
沈む夕日が奏でる月と太陽のリズム記す
自由味はいつまにか 見失いがちな
我ら生命の根本を知るのだろう

前に会ったときとは全く別人
道楽があいつを変えちまった
大事だった 家族守ることもせずに
過去なぞるだけの大バカ野郎
遠回しょうがない
両肩上がりなんておおかた 八日で終わる冗談
そう ただ 待つことだけ上手くなって
あぁじゃない こうじゃないと儲からないと
細かいことばかりこだわり
己を己たらしめんこだわり
おざなりにして勿体無い
そなたは戻れない道を引き返そうと
そこで一体何をしているのだね
細部ただ見ているだけ
外る霞む夢はあぶく
恥る破く 無くす
あくる日には終わるはず悪夢
いつまで見続けるというのだね
嘘や偶像宗教や空論
塗り固められた崇高ユーモア
さっぱり やった気になったのは君だけで
やはり カカシ ガッカリ 客観視
楽観から奪還することを拒んだんだから
それはそれは容易道理
中途半端猶予なんかいらないよ
未だ 知らないことだらけの世の中で
滴り落ちる情熱の血溜まり
光らしてやるのはお前しかいない

白々しい理解者に 睨み合いを利かす皆々に
開き直りという名の時代支配下に
置かれた君なり今見

機は来たり島々に 怒り 闇
悲哀なき 慈愛あり
忌々しい自己の卑しさに
未開の 未来をギラギラ漲らし
威張り気張り軒並み 置き去り
由なし仕事をお芝居 おしまい
媚びない閉じない

考察

白々しい理解者に 睨み合い” [ i a i a i i ] から始まり、”時代” [ i a i ] や “” [ i a i ] を挟みつつ、韻を畳み掛けています。

その次は、[ i a i ] の韻から発展し”軒並み 置き去り” と [ o i a i ] の韻を畳み掛けています。

開く 近く 日はみなく昼は今す来たる
僻むな漕ぎ出し 師走の様に駆け巡る気さく示唆深
イタズラにもひたすら刻むカルマ
誰も知らず 知らずのうちにいなくな
己を殺せ」と教える仏の元で 汚れを落と
溺れるな 溢れ微笑みを誇れ
何処へも行かず此処で 踊れ

カナリアの鳴くアカシアの木にしがみつく
生まれたばかりなまだ私は
悲しさを知らぬ赤い優しさを抱く
しだれ柳の木ので笑う
肌身離さず我が子を抱いて飛ぶ
アサギマダラの腹重く
命がけで産卵を試みる
ひどい雨に負けるなとホトトギス

何処見る 途方暮れている
路傍の石くれ行く
行無常を引き連れし
象無象を道連れに
藤とはその間 国のまほろば
和市 麗し 行く足
難しい顔して宙ぶらりんな
心ここに在らずにあらず
早くしな」とナナフシが
風向きは ワダツミの元に傾いた
私は 赤富士交わす
生まれながらの山うしさ

さぁお前のやる番だ
答えは遥かなる空にはなく
お前の心のうちにある
振り乱す武器を土に還す
窮地に立つときにこそ無心になる
口に出す愚かな 言葉は 諸刃だ
淀まない言葉たちを胸に
虚心坦懐 童心に帰ると同時
惜しみなく 鳥になる
うねりを打て

その心で 真っ直ぐに
真新しく あなたらしく
自分の踊りを踊ればいいのだね
あのたわやかな稲穂が
名も無き風にたなびいて
揺れている様がそうであるように
ススキや猫柳が 何者にも 何事にも囚われずに
風と戯れ 自由な踊りを踊っているように
空に溶けていく雲が 形にこだわらず
変わりゆく姿を惜しまずに
ただ流転する運命に運ばれて
空の不変に身を委ねているように
自分の踊りを踊ればいいのだね
自然はいつも私に
飾り気を捨て 我が道を行け」と
無言のうちに忘れかけていた
自分の踊りを教えてくれる

自分の踊りを踊ればいいのだね

 

音源

この曲が収録されている『Zymolytic Human ~発酵人間~』は詩とラップのバランスがよく、聴きやすくパンチラインだらけの名盤なのでおすすめです。

一時売り切れ状態でしたが、再販Verとして『醗酵人間』が出ています。

「醗酵人間」 

 

 

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