竹原ピストル『狼煙』の韻と巧みな言葉遊びを考察しました。
誤り・抜け等あればご指摘ください。
個人的な考察なので、参考程度にお願いします。
マイクチェックなし 唐突に言葉の雨降らし
辻斬りに明け暮れる暮らし
シーンの最底辺でエンターテイメント
野次を声援にひっくり返して
まんまとポケットにねじ込む 投げ銭数万数千円
てな歳月を延々経て経て すっかり食うには困らなくなったが
ある意味合いにおいてはペコペコにハングリーなまんまだ
栄光を食い散らかして満たし たい腹の中
標的はあくまでミュージックシーンのNo.1 だ
“延々” “経て経て” “ペコペコ“と言葉を繰り返す「畳語」でリズムを作っています。
“ペコペコにハングリーなまんまだ“は飯を意味する「まんま」も連想されます。
惑わずってよりは惑えず 潰しの効かない不惑の40が
恥ずかしげもなく今だくっきり思い描くサクセスストーリー
ホーミーさんこちら 手の鳴る方に 心配すんな 腕は確かだ ほらこの通り
“惑わずってよりは惑えず 潰しの効かない不惑の40が”
この一文は、孔子の言葉「四十にして惑わず」に対する歌詞です。
孔子の言葉は【四十歳になって、道理も明らかになり自分の生き方に迷いがなくなったこと】を意味しますが、迷うほどの選択肢を持たず1本道を邁進してきたということでしょうか。
そして「不惑」が曲中では「Fuck」に聞こえるという、言葉に2面性を持たせた非常に巧みな歌詞です。
モチベーションは底なし
男らしく遥かな志を胸に
行く先々でダミ声轟かし
知らねー限界 隙がねー展開
とうとう足を踏み入れる射程圏内
アンダーグラウンドから狼煙が上がるぞ
アンダーグラウンドから狼煙が上がるぞ
のし上がるぞ
鼻先にぶら下げられたにんじんごときには目もくれず
背中に積まれた掛け金の重みで加速させるレース
本命 穴馬 掻き分けて
ライク ア 走れコータロー
走るってこうだろう?
脚韻に加え“コータロー”と“こうだろう?”のような同音異義の韻も入っています。
“狼煙が上がるぞ” と”のし上がるぞ“はほぼ同音で、曲中の意味もほぼ同じという、この言葉の組み合わせが絶妙です。
ソルティー・シュガーの『走れコウタロー』
影から影のように忍び寄り
そして背後からそっとトップランナーの肩を叩く
だーれだ?おいおい、忘れちまったか?
あのときテメーが散々バカにした、俺だよ。
アンダーグラウンドから狼煙が上がるぞ
アンダーグラウンドから狼煙が上がるぞ
のし上がるぞ
アンダーグラウンドからのし上がるぞ
アンダーグラウンドからのし上がるぞ
狼煙が上がるぞ
「狼煙(朗読)~Live at 京都大作戦2017~」収録 Link
「狼煙(ver.2)」収録 Link
まとめ
R-指定がラジオにて
ラッパーとして言葉を扱ってる者として竹原さんの歌詞を聴いた時に、別ジャンルとして「いいな」って思うんじゃなくて。
ラッパーとして「やられたっ」って思う言い回しが多いんですよ。
と語るように、この曲でも唸るほど巧い歌詞がたくさんありました。
▼そのラジオの書き起こしはこちらです。
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