15分の超大作!!!!!SUIKA with 降神『タマキハル』


 

SUIKAはラップのタカツキATOM、ポエトリー・リーディングのtoto、キーボードのタケウチカズタ、パーカッションの高橋結子、ベーシストの石村順からなるHIPHOPを根底に持つバンドです(現在は活動休止中)。

そのSUIKAの5thアルバム『スイカ夜話』に収録されている『タマキハル』は15分におよぶドラマティックな超大作であり、2010年の発売当時は降神(志人、なのるなもない)が数年ぶりに揃ったことで話題を呼びました。

「SUIKA夜話」

 

「タマキハル」とは日本の古語で 「魂が極まる」という意味で、和歌なら「いのち」に掛かる枕詞らしいです。

そんな素敵な日本語が織りなす素晴らしい世界観を味わえる作品となってます。

 

『タマキハル』はまず、志人とtotoによる歌、童と鬼の会話から始まります。

(志人、toto)
遠くから遠くから オレンジ色が
てのひらに掌に うつりこむのさ
追いかけて追いかけて 日が沈む丘
行かなくちゃ行かなくちゃ 紫の空

 

童:はじまりのはじまりになにがあったの
赤おに:最初に一輪紅い花
童:花が咲く前になにがあったの
青おに:真っ贈暗い闘だけがそこにあった
童:闇の始まりにはなにがあったの
黄おに:そこには音しかなかったんだ
童:一体どんな音だったの
黒おに:ばちーんとはじけてうまれくる音
童:どこから音が鳴っていたの
赤おに:とある楽器がならしたラストノート
童:楽器はどうしてそこにあったの
青おに:おんがくの一部として存在した
童:一体どんな音楽なの
黄おに:言葉を失ったメロディーがあった
童:どうしてコトバをなくしたの
黒おに:なが一い時間かけて忘れたんだ
薫:ほんとは歌に意味があったの
赤おに:遠くの国の物語さ
童:どんな物語の始まりなの
一同:「世界よありがとう」タマキハル
童:どうしてお祝いしてあげたの
黄おに:やっとひとつの旅が終わったからさ
童:一体どんなたびだったの
一同:…それはね、それはね 

そしてATOM、タカツキ、なのるなもない、志人の4人の旅の物語が紡がれます。

なのるなもない、志人のバースは世界観が圧巻です。

何より1曲分のボリュームがあります。

ATOMは降神の録音を聴き、圧倒され、バースを書き直したそうです。

最初はそれほど「降神の曲」となってしまっていたそうで。

逆にタカツキは冒頭とラストの歌を作り、自分のバースは16小節に抑えてバランスをとったそうです。

 

そして、なによりも凄いのが4人の壮大で独創的な旅物語をまとめ上げるtotoのバース。

切ない童と鬼の物語をポエトリー・リーディング歌いあげる。

ラストに冒頭であった歌、童と鬼の会話がもう一度繰り返されるのですが、totoのバースを聴いた後では聴こえ方も思い浮かぶ情景も大きく違ってきます。

 

 

志人の韻


『タマキハル 』は世界観とストーリーが素晴らしいのですが、それを崩さず踏みまくる降神のライミングが驚異的です。

最後に志人の韻考察を記して終わります。

大波 小波 後悔 用なし 本来 同じ
ソーラー見上げし兄弟
ものさし 夜空に 投げ打ち
この先 生涯 誇らし 友達

言葉に 留まり 大人に 伴い
損ない どこかに 忘れた モノ達

異なりを認め事足り事が
望まし 行いなのにもどかし

[ o a i ] の韻で畳み掛けた後、一文字足した [ o o a i ] でさらに畳み掛けています。

 

そう上手くはゆかぬが
苦楽は歌うんだ
ブラフマが 草むらを揺らす

プカプカ浮かぶ フワフワと膨らむ
複雑
渦巻く狂わず 鈴なる
プラズマの ブラスバンド 降らすアース
グラグラ マグマ あぐら かく神楽
十中八九 崩さぬリズムで縮尺
拡大する宇宙は Who are you?

深く 繋ぐ 向かう プラス
無我夢中で
く明日
うかうかしてる間にうやむやになるなら
ゆかぬか 悔やむな 

この部分の踏み方は神業です。

[ u a u ] で立て続けに踏む部分、く明日 [ u a u ] / [ u a u ] の踏む方なんて凄すぎます。

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