・なんでもっと売れないの?
・そこらの有名ラッパーより遥かにやばい
・再生回数もっと伸びるべき
MuKuRoに対するコメントで度々目にする言葉です。
再生回数や売れる(売れてるように見せる)のは、タレント活動やSNS戦略による影響も大きいため、自分の感性で本気で凄いと思えるかが肝になります。
MuKuRoというラッパーに一聴で圧倒された時、私も上述した感情を抱きました。
一息で魅了することができるという意味でも今作のEP『BLESS』というタイトルと収録曲の『Good Bless』はMuKuRoにぴったりだと思います。
内容としては上述したリスナーの野暮な心配や鬱憤を吹き飛ばすほど気概と情熱を感じる最高のものです。
そもそもMuKuRoの目線は世界だ。
そうインタビューでそう語っていたように、少しのバズぐらいは序の口なのだ。
その点、今作で世界基準で作品を作り続けるKojoeと手を組んだのは大きな節目であろう。
MuKuRo – BLESS
- Sunday Prayer
- JOURNEY (feat. KOJOE)
- God Bless (feat. BUPPON & KOJOE)
- Red Sign
全4曲、プロデュースはすべてKojoe。
客演にKojoeと、前回KojoeプロデュースでEPを発売しているBUPPON。
今作でもKojoeのラッパー、トラックメイカー、シンガー、プロデュサーとしてのレベルの高さに驚愕です。
こうやってKojoeの能力を羅列していると、シンガー、ラッパー、英語と日本語を駆使するリリックという点でMuKuRoと共通点が多い事に気付いた。
その共通点をKojoeが認めてプロデュースしているということが重要点だ。
▪️Sunday Prayer
[Sunday Prayer ]直訳すれば”日曜日の祈り” Prayerという言葉は”僅かな希望”などという意味もあるので、そういった意味も掛けてるのだろうか。
苦悩や毒を吐きながらもスキルアップを継続中であることが歌われる。
そのCoolな情熱に心を打たれる。
とにかくイントロから完璧だ。
Boom Bapのドラムが入った時、ベースのブレイクからラップが入った時、ガッツポーズが出る格好良さ。
1verseはMuKuRoの最大の武器と言ってもいい、キレキレで力強いラップにメロディアスなフロウを織り交ぜたもの。
ビートとラップが初っ端からド直球、小細工なしで格好良い。
一転、2verseはシニカルなリリックを淡々とラップするというもの。
流石のHookのメロディセンスとラストにKojoeのハモリ入る点など、一曲の中で多彩なスキルと要素があり、直球の格好良さと幅の広さを感じた。
▪️JOURNEY feat. KOJOE
まだ果てしない旅の道中、情熱をクールに吐き出すMuKuRoとKojoe.
次曲のGood blessとはテーマは近いが対局のバイブスです。
MuKuRoのHookはユラユラとしながらも確実に進む旅人らしい足取りを想像させるフロウです。
言葉よりも行動 当たり前のこと
仕事量が計り知れないKojoeの口から重すぎる一言。
Works 2019💪
2020は倍はこなす🔫🩸 pic.twitter.com/Da2l7WprGe
— Kojoe (@iamkojoe) January 3, 2020
▪️God Bless
イントロのオーケストラは壮大で物々しい雰囲気、そこから今作始めての声を張ったMuKuRoのHook は鳥肌ものの重厚感。
暗がりその先へ
『暗がり』とはMuKuRoのダークな部分を吐き出した楽曲で、それより次の段階へ登ったことを示唆するリリックです。
そして、BUPPONのバースはすべてがパンチラインといっていい程、核心的で言い回しが渋い。
税金対策の架空会社のような風で飛ぶ看板は降ろしな
また、KojoeのVerseはHookと同じメロディーラインで始まりは流石の多彩さを感じる。
▪️Red Sign
ここまで3曲で気概とスキルを見せた上でラストにキッチリ偽物を排除する。
これまでのスキルに裏付けされた痛烈なシニカルな歌詞だ。
自分のケツを叩くためのリリックも混ざってるようにも感じる。
教科書の裏 ほら隠れてRollup
自分を持っていないラッパー達を現したニクい言い回しだ。
▪️まとめ
MuKuRoを含め604のラッパーは、鬱憤や不満を吐き出すのがとても上手い。
それはスキルの裏付けがあっての強烈な言葉のチョイスや、等身大の目線であることのリアルさ。
どんな状況下でも幸せを作り出すゲットーに繋がる精神など。
今作から改めてそれを感じた。
何より今作はネガティブを踏まえて吐き出すMuKuRoの気概に勇気付けられる、感動する。
そんな作品でした。
MuKuRo – BLESS