「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」において、Creepy Nutsのお二人がマボロシの「ヒーロー」を紹介しました。
以下、R-指定 → R DJ松永 → 松
マボロシのスタイル、オートチューン
R:はい。今日ご紹介したいのは、「Rの異常な愛情」という本で対談させ頂いてるMummy-Dさんです。
松:おっ!
R:RHYMESTERの曲は何回も紹介してるし、宇多丸さんにも来て頂いてるじゃないですか。
でもMummy-Dさんは、SUPER BUTTER DOGの竹内 朋康さんとマボロシってグループを組んでるんですよ。
松:マボロシ。。
R:Mummy-Dさんがラップ、竹内さんがギターというHIPHOPともロックとも言えない、ミクスチャーって自分達で言ってたんですけど、そのグループで3枚アルバムを出してるんですよ。
どれもが名作なんですよマボロシのアルバムは。
松:いいですよねー。
R:しかもマボロシはRHYMESTERでやってこなかったMummyさんの引き出しというか、ガッツリ ラブソングとか、結婚の歌とかをDさんが歌ってる。
そのマボロシでMummy-Dさんの歌詞が変化して進化するんですよね。
ラッパー然とした歌詞から、それこそ椎名林檎さんとかのロックミュージシャンの方々とコラボすることで歌詞が叙情的になって。
すごい詩的なリリカルな部分が別の方向に進化するんですけど。
その最終進化形態やと思うのが3枚目のアルバム「マボロシのシ」というアルバムなんですけど。
その中から「ヒーロー」という曲を紹介したいと思います。
松:めっちゃいいですね。
R:「ヒーロー」めっちゃいいですよね!
なんでこの曲を紹介したいかというと、当時2009年の曲なんですね。
松:そんな前か!
R:10年前のこの曲、今では当たり前となったオートチューンという技術をラッパー達が使い始めた時期なんです。
みんなが「どうする?やってみる?」みたいにアメリカでも日本でも探り探りやってた時期。
それで、多分Mummy-Dさん史上、RHYMESTER史上、初めてオートチューンを使った曲がこの「ヒーロー」なんですよ。
全編オートチューンがかかってるんですけど、これ特筆すべきは並みのラッパーやとオートチューンかけちゃうとオートチューンに食われる。
でも、声が強くて、リリックが強くて、ちゃんと上手いラッパーならオートチューンを食ってまうんすよね。
松:うん、うん。
R:だから「ヒーロー」でDさんが使ってるオートチューンは、使ってる感もないし、Dさんが乗りこなしてると。
そんな技術の表面的な事は置いといて、曲として超いい曲なんですよ。
松:ねー、いい曲だよね。
R:歌詞とかも素晴らしいので、一旦聴いてもらいましょう。
マボロシで「ヒーロー」
(曲が流れる)
R:というね。
松:いいですね。
R:どういう曲かと言うと、バンドをしようぜと誘われたベースをやってた男の子がミュージャンになって、誘ってきたボーカルが普通に就職してという視点を2ヴァースに分けて描いてて。
誘われたやつの視点、誘ったやつの視点、両方のヴァースで掛かってくるとこもあって、すごいよく出来た歌詞なんですよね。
松:Dさんは凄いね。
R:ストーリーとしてもよく出来てるし、仕掛けとしてもよく出来てるし、単純に素敵な文章
がいいんですよね。
俺はマス目の中で見つけたんだ
おれのおれだけの
Dさんはマジで
R、松:リリシストだよねー。
松:当時初めて聴いた時は聴覚的にめちゃくちゃ新鮮だったよね!
「えーオートチューンかかってて、ほぼ歌これ?」って。
R:そうそうそう。
松:サウンドもマボロシサウンドだし。
これDさんの新しい一面聴けたー、みたいな。
R:ねー。そして今だに進化し続けてますから。
松:いやー本当よね、俺らもやり続けないといけないですね。
RHYMESTERは秀逸
R:マボロシは3枚アルバム出してるんですけど、1枚目は「ワルダクミ」というもので、それは結構RHYMESTERの延長線上のようなDさんなんですよ。
松:あー、そうだね。
R:でもそれが竹内さんのギターと相まって違うサウンドでDさんがソロでラップするという側面が強い作品だったんすけど。
「ラブシック」から明らかに変化しましたね。
松:そうだね、確かに。
R:「ラブシック」は全般ラブソングのアルバムなんで「キッチンくん」とか「ペニー・レイン」とか。
松:そっか!「ペニー・レイン」ラブシックか。
R:「ペニー・レイン」はそれこそ「前略」で語ってるDさんの失恋エピソードが。
松:WANTED!でもね。
R:そうWANTED!でも話してた。
で、その「ラブシック」があって、今までにないDさんが出てて、このアルバムきっかけで外のミュージシャンとの交流がより深まって「マボロシのシ」では椎名林檎さんとの「あまいやまい」という曲がありますから。
松:そっか。
1stも全部いい曲なんだけどさ、トラックメイカー的には「泥棒」がさ
R:「泥棒」ね!!その歌詞がまさしくね、Mummy-Dさんトラックも作りますからね。
松:そもそもHIPHOPというジャンルは引用の文化じゃないですか。
だからそれを「泥棒」と悪いものとして本人が言っちゃうというさ。
あの曲がさぁ、、アホほど良いんですよね。
R:めっちゃ良いから「泥棒」
松:「泥棒」もちょっと紹介して欲しいな。HIPHOPの文化も紹介しつつみたいな。
R:確かに、マボロシについてじっくり語りたいですよね。
「泥棒」が、3枚目のアルバムでは「雑種犬」というね、
これは、泥棒であるサンプリング文化を経て、ロックとか色んなものを吸収して今のDさん、今のマボロシ、今の俺が雑種犬になってしまった。
色んなミックスされた血統書のないダーティーなミュージックやという意味で「雑種犬」という曲になってますから。
松:なんだろうねぇRHYMESTERにHIPHOP語らせたらめちゃくちゃ秀逸だよね。
R:めちゃくちゃ秀逸!
松:例え方がすごいよね。
R:そのマボロシのDさんの進化があって、RHYMESTERが活動を再開した2009年の「ONCE AGAIN」に繋がって「マニフェスト」ってアルバムが出て、今のRHYMESTERへと繋がるんですよね。
松:すごいですねぇ。RHYMESTERはいいね。
R:いつまでも最高ですね。
<書き起こし終わり>
「マボロシのシ」収録 💿
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