「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」において、Creepy Nutsのお二人がKennyDoes『気持ち』を紹介しました。
以下、R-指定 → R DJ松永 → 松
メキメキ上手くなったKennyDoes
松:Rさんの日本語ラップ紹介コーナー参ります。
R:はい、今日紹介したいのはですね、またこれ梅田サイファーのメンバーなんですが。
松:ツレ?ツレの曲?
R:ツレ!KennyDoes。
松:おー!ケニー。
R:KennyDoes。ケニーです。
松:ケニーはラップがね上手いのよ!
R:KennyDoesは、ずっと昔から俺らとラップをやってて。
それでKOPERUと俺が組んでる「コッペパン」というグループでもDJをやってくれたりしてたんですけどね。
松:その頃はそうだね。
R:元々はラップしてなかったんですよ。
松:ラップ始めたてだったのよ。
俺が初めて会った時、それこそ東京の「ADRENALINE」っていうイベントで。
それで東京で初めて会って「最近ラップ始めました」みたいな感じの子だったからね。
R:でもKennyDoesはメキメキ ラップが上手なっていって。
梅田サイファーで出した『マジでハイ』っていう曲でKennyDoesのラップの上手さが世に知れたという。
松:全国に知れ渡ったよね、あれでね。
R:元々上手かったんですけど。
松:異常にキレキレというかね。
R:異常にキレキレ、ずっとキレキレ。
で、そのKennyDoesがソロアルバム『セレブレイション』を出すということで。
その中の『気持ち』という曲を今日かけたいんですけども。
まあ、このKennyDoesはラップがめちゃくちゃ上手くて。
それこそさっき話してたようにIDがめっちゃラップ上手いのに色々悩んでるという。
「お前はラップが上手いんやから堂々としてりゃいい」っていう。
で、ドイケン(KennyDoes)にもほんま同じことを思っていて。
「お前ラップ上手いから、他のことは何も考えんでええからラップだけしとけ」っていう感じなんだけど。
それをこいつがやっと自分的に自覚して曲に落とし込んだのがこの『気持ち』なんですよ。
松:はいはいはい。
R:だからドイケンは強い気持ちを持って「俺はラップ上手いぞ」っていうのをボースティングしまくってる曲なんですけど。
松:うん。
R:これ、自分でトラックを作ってんな。
松:へぇーそうなんだ。
R:今回のアルバムで自分でトラック作ってるのが結構あって。
ラップも全編キレキレなんですけど、この『気持ち』っていうのが、まずサビのリリックで言うと
“I’ve got a voice I’ve got a flow” って。
「俺は声を持っている、フロウを持っている」って感じで、この “I’ve got a ….”で続くんですよ。
“I got a voice, I got a flow,
I got a… I got a style.
I got a skill. I got a rhythm” っていう。
「声もフロウもスタイルもスキルもリズム全部持っている」っていう。
それで”I got a rhyme” ってきて
“I got a 武器 I got a 気持ち”ってで気持ちも手にしたわけですよ、ラップの上手さと共にね。
で最後に
“I’m with the 勇気 I’m with the 空気”っていう。
「勇気を持って、なにかやらかしそうな空気を纏って」
それで”I got a JUICE”
「名声とかを手にするぞ」っていう、結構そういう感じのサビで。
松:うーん、なるほど。
R:”I got a, I got a…“って何を持っているのか?っていうので、Verseで「正確なリズム感」とか、ドイケンが持っているものを羅列していくんですね。
「言語学者的感覚」「制圧する威圧感」「変革できるカリスマ性」とかどんどんと持っているものを言っていく。
その後で “後世に残すべきワンバース” という。これもKennyDoesが持っると。
それで “恒例のフロウからの脱し方” という。
いろんなラッパーがやっている恒例の、お決まりのフロウから脱したケニーのフリーキーなフロウのことですね。
で、”これから先の勝ちパターン” 他のラッパーがなし得なかったような勝ち方で登っていくぞと。
“ヤバい肺 like a Busta Rhymes”
まあこれはね、海外にBusta Rhymesっていうラッパーがいるんですけども。
めちゃくちゃ早口ですごい肺活量のあるラッパーなんですよ
まあ、そいつぐらいエゲツないラップが出来るぞと、そのぐらいの肺を持っていると。
その後に “マジでハイ トラボルタカスタム”
この『マジでハイ』っていうのがドイケンがこんだけラップが上手いっていうのが世に知れた曲ですよね。
その次『トラボルタカスタム』でもケニーはキレキレにカマしていた。
最後にバースのケツで “持ってないフリしとったんやけど わりかし持っていたわ” ってもう1回サビにいくという。
松:なるほどね。
R:これもケニーらしいボースティングですよね。
じゃあ1回どんだけラップが上手いかも含めてKennyDoes『気持ち』を聴いてください。
2Verse リリック解説
R:これ、2Verse目もめっちゃ上手くて。
“後聞きの上手さ 2日目のカレー
後味はまるでFunny Games
書けない時期は早送りした
意味がわからなきゃ巻き戻しな”
っていうところで『Funny Games』という映画はすっごい後味が悪いんですよ、ズシンと来る。
松:そうなんだ。
R:ねその『Funny Games』の中でまさかの第4の壁を突破して、悪いやつが映画の中で早送りとか巻き戻しを自分でするんですよ。
だから “書けない時期は早送りした” っていうのはドイケンがリリックが書けなくて悩んでいた時期は『Funny Games』に繋がって早送りしたと。
で、意味がわからなければ巻き戻したと。
松:なるほど。
R:その後の
“大勢にとってのall-time favorite じゃねえが
今世紀最大の功績 それはあの日
あの屋根にのぼった三島みたいな俺の気持ち”
これはまあ、三島由紀夫のことですよね。
屋根の上に上って演説して最期を遂げる時のそんぐらいの覚悟、気持ちを持ってKennyDoesはこのアルバムを引っさげて登場したという、そのバイブスですよね。
松:なるほどねー。
R:で、”持っているやつに持ってないやつがたまには勝つと思ってたい”って。
これはRHYMESTERの『ザ・グレート・アマチュアリズム』の宇多丸さんのVerseからのサンプリング。
最後の “持っていない俺が世界最強 クソ熱い日本語ラップ代表”っていう。
これはブッダのラインをサンプリングしているという。(天運我に有り(撃つ用意))
松:なるほどね。よくできている曲ですね。
R:よくできた曲やし、よくできたアルバムなのでぜひKennyDoesの『セレブレイション』を皆さん、聞いてください。
「セレブレイション」 Link
いい先輩してんじゃん
松:トラック自分で作ってるの驚きなんだよね。
R:そう!しかも今っぽいトラックも作れるし。
松:イケてるんだ!
R:うん。
松:だって最初に会った時はRとかKOPERUの後輩ってイメージで。
で、「ADRENALINE」もオープンマイクの時間があって、そこで慣れないながらも緊張しながらラップしてみるぐらいの感じだったの。
その頃は名前もまだ「doiken」だったし。
R:そうそうそう。
松:その後「KennyDoes」に名前変えてさ、メキメキラップ上手くなってさ「え?ラップ上手くなるの早くない?」みたいな。
R:あいつめっちゃ早かった!
めちゃくちゃ上手いし、今回のアルバムとかも、唯一featuringが先週紹介したガガさんなんですよ。
松:そっか。
R:その対比も良くて。
松:対比いいよね。
R:ガガさんのリリシズム具合とガガさんしか持ってないリズム感と、それこそKennyDoesの正確なリズム感と。
今回のアルバム、ケニーの現段階での出せる色が全部出てるんちゃうかな。
松:フリースタイルダンジョンとかも出てたじゃないですか。
R:出てた。
松:俺、普通にテレビで見てたけどさ、マジで上手すぎて怖かったんだよね。
R:せやねん。
松:「え?なに、曲じゃん」とかのレベルをはるかに超える。
「怖い怖い怖い、気持ち悪い気持ち悪い!!!」みたいな。
リズムの刻み方が異常すぎて、歌詞もちゃんと筋通ってるしさ。
R:そうやねん。ケニーは日本のラップ界でだいぶ稀な「上手すぎる」っていう。
上手すぎるから歌詞の中でパンチラインを残すのがムズイって自分で言ってたな。
リズムに言葉が全部吸収されるから。
松:なるほどリズムが強すぎるから。
R:でも今回のアルバムは、こういう所もケニーの中では解消できてバーンと頭に入ってくるパンチラんも。
松:さっきもあったしね。
R:そうそうそう。やから今回のは是非みなさん聴いて欲しいんすよ。
しかもタイトル曲にもなってる『セレブレイション』はアルバムのクレジット見てくれたら分かるんですけど、Kyohei Nogamiが共同作詞
みたいになっていて。
っていうのも、元々の『セレブレイション』を送ってもらった時に「もうひとメロディぐらい欲しいなみたいな」みたいなこと言って。
俺がノリで「こんなメロディどう?」みたいな嘘英語で歌ったものをケニーに送ったら。
「めっちゃいいっす!これ採用します」ってケニーが歌詞つけて歌ってくれて。
松:そうなんだいい先輩してるね。
R:あ、出来てたか(笑)
<書き起こしおわり>
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