ラッパーがうだつと共に上げるもの、上がらないもの

うだつとは?

「うだつ」とは隣家からの火事が燃え移るのを防ぐため、防火壁として造られたものです。

設置に多額の費用を要すことや、装飾的な意味が強くなったことで、富や成功の象徴となりました。

ここから「出世しない、地位が上がらない」ことを言う慣用句「うだつが上がらない」が生まれたと言われています。

ラッパーは、うだつが上がらない日々を歌にしますが、うだつと共に上げたもの、上がらなかったものを紹介します。

MC TYSON『Taking Over feat. guca owl & 唾奇』

上がらないうだつと口角
もがく暗い闇の中
俺らは同じ様な顔してたが
知ってたんだグリってばっかだった

唾奇はネガティブな感情や満たされない状況をさらけ出し、かっこいい曲に昇華する天才です。

唾奇の本心から出た飾らない言葉は、心を惹きつける魅力があります。


Creepy Nuts『デジタルタトゥー』

俺はコレで斬りつけた
俺はコレで切り抜けた
俺はコレで惹きつけて コレで
うだつあげ名を上げた

うだつと名を上げたR-指定は、楽曲がより多くの人に届くようになったことで、言葉の重みや伝え方の重要さを自覚するという内容です。

過去に自身が発した言葉と決別するのではなく、身に刻み覚悟を決めるというR-指定の節目となるような楽曲です。


般若『土砂降りでも REMIX (feat. Benjazzy & MACCHO)』

変わらないぜ未だに変わり続けてること
俺らだけの夢では無いって理解してるぜもう
手とうだつ上がらねぇステージ
から比べればマシって自分すらも騙しても

武道館や横浜アリーナ公演をはじめ、数多くの功績を残してきたBADHOP

それでも満たされることなく、進み続ける姿や新たな葛藤、苦悩が表現されています。

手とうだつが上がらないステージの頃と変わらず、変わり続けたBenjazzyの異次元なスキルを堪能できる楽曲です。


in-d『input』

上がらないうだつとテンション
今は必要ない強いふり Set me free
だからこそinput 難しいことも実はシンプル

うだつとテンションが上がらない日々でも、地に足をつけてやるべき事やるin-dのリリックです。

不思議と卑屈さや憂いをまったく感じない爽やかな楽曲です。


舐達麻『FLOATIN’』

もう1度ない 書くクラシック
今もうだつ上がらない
別に上げる気もない どうでもいいよ

上がらないうだつに対して「どうでもいい」と言い放つBADSAIKUSH。

常識や評価、法律に捉われない独自のスタイルを突き詰めたからこそ、舐達麻は現在の立ち位置があります。

舐達麻は奇しくも、この曲あたりから人気が爆発しています。


番外編

うだつに関連するリリックで韻が固い楽曲です。

黄猿 & 呼煙魔『イカシテル』

すます まずまず
グラス 揺らす 飲み込んじまう
うだつ 上がらず カツカツ な奴
殺伐 いや かす まず

黄猿は母音 [ a ] [ u ] を中心に韻を畳み掛けています。


SEEDA『Adrenalin』

ブリ吹かす余裕
うだつ上げ 二つバースらずばす

SCARS傷は負ってもリリックで刺す
け当ってもパッと花散らす

うだつ上げ 瓜二つのバースけらずトばす” のリリックがSEEDAすぎる上、韻も固すぎます。

そして「うだつ」と「SCARS」が踏めるという感動があります。


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