「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」において、Creepy Nutsのお二人がテークエム『DELOREAN THREE』を紹介しました。
1バースで人生を変えたテークエム
DJ松永:Rさんの日本語ラップ紹介コーナーに参ります。
R-指定:はい、つい3日前ぐらいにEPを出した梅田サイファーの俺の仲間ですね。
DJ松永:お!
R-指定:テークエムというラッパーですね。
DJ松永:よっしゃきたね!
R-指定:『XXM』(ダブルエックスエム)という6曲入りのEPを出しまして。
このアルバム全曲BACHLOGICさん(B.L)プロデュースという。
日本を代表するプロデューサーですよ。
DJ松永:ねー。1位といっても過言じゃないですね。
R-指定:そうですよ、梅田サイファーでトラボルタカスタム(Prod. BACHLOGIC)という曲をやった時の1バースにB.Lさんが惚れ込んで「一緒に曲やろうぜ」ってことですから、大抜擢ってことで。
DJ松永:すごいよね。
R-指定:だから1バースで人生変えたねんアイツは。
DJ松永:まあ日本のレジェンド著名プロデューサーを迎えたらね。
テークエムのこと知らなかったんだよね?
R-指定:そう、知らんかった。「こいつやべぇ」ってなって一緒にやりたいってなって。
DJ松永:で、テークエムの連絡先をB.Lさんが調べて、テークに電話一発ってことだよね。
R-指定:そう。
DJ松永:すごいねー。
R-指定:で、この6曲入りのアルバムなんですけど、これがまあ素晴らしくて。
全体的に世の中に対する怒りとか感じてるモヤモヤしたもんとか怒りに満ちたアルバムなんですよ。
すごい尖ってます。B.Lさんの音も最強にバキバキに攻めてるし、テークエムのラップもすごい。
内容も全体的に、日本語ラップクラシックで言うとMICROPHONE PAGERの『病む街』って曲があるんですけど、当時の世相を映してそれに対する怒りからの若者の回答という。
DJ松永:90年代だよね。
R-指定:そう、それにすごい近い空気持ってて、「病む街2020」といってもいいような全6曲。
DJ松永:はー。
R-指定:このアルバムもう1個の側面が「中毒者」
HIPHOPの中にもよくありますけど、ジャンギーラッパーとかのアルバムってよくあるじゃない。
DJ松永:うん。
R-指定:それは、ドラッグを使ってヨレてるから語れること、ほんまにそれに悩まされて葛藤してる奴の言葉やから、正義のキャンペーンとかよりもよっぽど響くわけですよ。
「これはほんまにアカンな」とか「俺は手出したらアカン」とか「付き合い方考えよう」とか。
そのアルバムの側面も持ってる。
ただ、テークエムが中毒になってる対象はドラッグじゃなくて「ネット」なんですよね。
DJ松永:うーん。
R-指定:ネットとかSNSって言うのはもうドラッグでもありますよ、命にも関わるような。
DJ松永:まあ俺らにも関連する、より身近だもんなあ。
R-指定:だからドラッグより俺達全員が他人事じゃなく考えられる危なさを持ってるものに対しての怒りが全部に散りばめられてるアルバムやなと俺は思ってる。
DJ松永:なるほど。
R-指定:それの当事者であるテークエム「便利やな、でも振り回される、でも気になる、でもしんどい。」
だからリリックのなかでも
“人間でいる為のライセンス”『BROKEN PHONE』
“ザッカーバーグが仕掛けたクソなアカウント信仰”『SERVER DOWN』
“Youtube見るだけで10万円以上してる機械”『BROKEN PHONE』
とか、これに翻弄されてる中毒者としての怒りが全面に溢れ出てる。
だから今の時代にこそすごい聴いて欲しいと思うアルバムやし。
そのアルバムの中でも今日聴いて欲しいのは後ろ向きじゃなく、前を向いてる曲なんすよね。
DJ松永:うーん。
R-指定:このクソな、色んなもんに振り回されて、これがないとどうにもならない、人の目ばっか気になる。
でも、そんなクソな現状を変えようぜと、俺は前を見てる。
お前らゴシップでワイワイ言ってるけど俺は前を向いて未来を変えていく、俺はタイムスリップして未来から来た。未来へ連れて行く。
という意味で、バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンって機械になぞられて『DELOREAN THREE』って曲を今日聴いてもらいたいと思います。
テークエムで『DELOREAN THREE』
R-指定:というね、ラップの上手さについては、ここでは語りきれないぐらい。後半の
お前、神かカニエになりたいのかよ?
頭から足まで ヴァジルアブロー
遅すぎるわ 場違い野郎
後追いじゃ Get no satisfaction
お前のScale,バチカン市国
俺はProps,バッチリ獲得
俺のSpeed,Captain Falcon
置いてくなんてマジで楽勝
DJ松永:ヤバイヤバイヤバイ!!!
R-指定:リリックもすごいけど、テクニックもえぐい。
DJ松永:いやあ凄い。
メロウテークエム・チルテークエム・エモテークエム
R-指定:全曲ヤバイんですけどね。
DJ松永:全曲やばいね!
R-指定:作ってる段階から俺ら何曲か聴かされてたんよ。
この『XXM』の一曲目の『JEWEL IN THE DARK』がまずヤバすぎ!
DJ松永:ヤバイよね!
R-指定:日本語ラップをずっと突き詰めてきた奴の今のトラップへの回答というか。
B.Lさんのトラック的にもそうやろうし、テークエムのラップのキレもそうやろうし。
DJ松永:初めてB.Lさんとテークがやったデモが送られてきて「これやったら困る人いっぱいいるよ!」って思ったよね。
R-指定:ほんまにそれやることで、今までファッションやったり勢いで誤魔化してトラップやってた人が全員まくられる程、こんなにちゃんとラップ上手くて、こんな乗り方できるんやって証明してしまった。
リリックのおもろさも含めて。
DJ松永:本当だよねー。
これから出る作品も、俺らは聴いたけど世に出てない作品とかあるじゃないですか。
R-指定:まっだまだコイツやるから!
今回のアルバムは意図的にコンセプトとかも含めて統一性持たせたんやろなって。
だから一見暗いバイブスに満ちた聞こえ方もするんやけど、こういう闘い方なんすよ。
俺もテークエムと似た精神性があるからですけど。
テークエムなりにいます振り回されてるもの、抱えてるしんどいものっていうよにラップで闘いを挑む姿勢というか。
アルバムの終わり的に怖い内容で終わったりするんですけど、この先のテークエムが楽しみになるという。
DJ松永:楽しみだよね、キャッチーなメロウとかも作れたりするからな。
R-指定:そうやなー、このアルバムの6曲がコイツの一角にしかすぎないというか。
メロウテークエムもチルテークエムもエモテークエムもまだおるから!
DJ松永:引き出しの数がすごいよね。
R-指定:そしてリリシストだから、たまらんよー。
DJ松永:たまらんよー。
テークエム – “XXM”
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