R-指定、Creepy Nuts結成のキッカケ、ラップとの出会いを語る

R-指定さんがNHK-FM『ミュージックライン』にゲスト出演した際に、Creepy Nuts結成のキッカケ、ラップとの出会いを語りました。

以下、R-指定 → R  南波志帆 →

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出会い

 

:R-指定さんと、DJ松永さんは18歳の時に知り合ったそうなんですが、当時の印象って覚えてますか?

R:僕、地元大阪で松永が新潟なんですけど。

大阪でまた別のラップグループを組んでたんですよ。

そのラップグループ組んでた奴が大阪でイベント開こうって、当時の同世代20歳になる前ぐらいの東京のラッパー、 DJ やったり沖縄、福岡、新潟から全国の同世代を集めたイベントをやったんです大阪で。

そん時に新潟から松永さんが来て、初対面は曲の中でも言ってるけど、ハット被って短パンとサンダルやったんですよね。

なんか変な格好してるし目立つじゃないですか。

当時ってあんまりヒップホップがそこまでメジャーな文化でもなかったし、アンダーグラウンドに一回すごい潜った時期だったんです。僕らが10代の時って。

キングギドラとかKICKとかRIP SLYMEが出てきた2000年代前半は1回ヒップホップが全国にバッと市民権を得かけたんですけど、そこからまたどんどんブームが収束していって、アンダーグラウンド化が進んだその一番地下に潜ってる時期ぐらいに僕らが10代やったんで。

だから全国から同世代集めても不良しか来ないんですよほんまに。

もう沖縄から無茶苦茶ガタイいい奴来て、福岡からは何か一番怖い感じの細い不良きて、東京からは2 mぐらいの金髪のやつが来て、うわぁ!とか思ってたら、新潟からなんかひょろひょろした短パンとサンダルが来たから、「こいつ雑魚そうやな」と思って。

:あはは(笑)

R:友達なれそうやなみたいな。

大阪も結構、不良じゃなくてペンギン村的な和気あいあいした奴らやったんで。

各地からくる街の顔役みたいな奴らが集まってくるのに恐れてたんですけど、新潟から松永が来たから「おいでおいで」ってすぐ仲良くなりましたね。

:最初の印象が雑魚そうってめっちゃウケますね。

R:あいつも同じで「雑魚そう」って思って友達になったそうですから。

 

 

 

ユニット結成のきっかけ

 

:そこからどういうきっかけでユニットを一緒にやろうってなったんですか?

R:そっから普通に友達の時期が続くんですよ。

結構18から4〜5年ぐらいはただの友達みたいな。

友達なんすけど「一緒に曲作ってみる?」みたい言ってたりとか、一緒に遊んだりとかの機会が増えてて、なんか友達以上ユニット未満みたいな期間が続いて、俺のソロで DJ してもらったりとか、松永さんのソロのアルバムに俺が客演でラップ入れたりとか。

そういうのがあって、そんなに劇的なあれじゃなく、普通に松永さんも上京してたんで先に。

俺は大阪住んでたけど東京でライブあって遊んでる時に、新宿の路地裏のゲーセンの前で「そういえば一緒にやってみます?」みたいどっちからともなく言い出してそれでやりだしたみたいな。

:じゃあ自然の流れで結ばれたという。

R:結ばれたって言うとちょっと気持ち悪いんですけど(笑)

あんま劇的なエピソードないんで、毎回松永と「どうする?」って作戦立ててるんですけど。

まだその脚本ができてないんで、出来上がり次第そっちに変更すると思います。

:楽しみにしてます(笑)

 

 

ラップを始めたきっかけ

 

:ではもっと過去に戻りまして、R-指定さんがラップに出会ったのはいつ頃ですか?

R:僕は中学校1年生の時にラップと出会ったというか、好きになりました。

それまで触れてはいたんですよ当然。

それこそ日本語ラップが世に広がった時代に僕が小学生とかの時代やったんで。

正直、音楽にあまり関心がまだなかったんですね。

おとんの車の中で聞いてたおとんの時代の音楽とか、おとんが好きな中島みゆきさんとか、サザンオールスターズとかを聞いてて俺も大好きになって。

逆にいとこの姉ちゃんが聞かせてくれる、いとこの姉ちゃん時代のを聞かされてもなんか、通ぶってたんで僕「若いやつの音楽わからへんわ」とか小学生のくせに言ってたんですよ。

:なかなかっすねー。

R:めっちゃ痛いですけど言ってて、ラップっていうのも KICK THE CAN CREW とかも聞いて耳には入ってきてたけど、それがKICKやと認識してなかったりとか。

ちゃんとそれがラップであるって認識したのが SOUL’d OUTっていうグループで。

中学生の時に家族で外食してる時に、そのお店でSOUL’d OUTさんの曲が流れててかっこいいと思って。

SOUL’d OUTさん自体英語を多用するんで、何言ってるか分からんけど、とにかく耳が気持ちいいなと。

それで CD を買ってみようと思ってチェックしだして、 CD ショップの日本語ラップコーナーみたいな所にとりあえず行って。

これがこないだごはん屋さんで聞いたあれや。 Zeebra って名前聞いたことあるぞ、これが Zeebra さんか。

RHYMESTER ってのは聞いたことあるな。と手当たり次第に CD を手に取って聞き始めたんですね。

:そっから のめり込んで?

R:のめり込みましたね。入り口がSOUL’d OUTさんで、よりのめり込むきっかけになったのが、RHYMESTER さんとかZeebra さんとか。

日本語でバシバシラップしてくれる人で。

当事やと日本語ラップ的には Zeebra さんとか RHYMESTER さんはレジェンド枠になってたんだけど、僕は後追いで「さんぴん世代」と言われる「さんぴんCAMP」ってイベントをやった90年代の日本語ラップの先輩たちの音楽を後追いですごい、がーっと聴いてて中学生の時代に。

何が面白かったのかなーって今考えたら、それまでおとんの聞いてた歌謡曲とか聞いてた脳みそに Zeebra さんとRHYMESTER さんは自分のことを歌うんですよね。

俺が Zeebra って言うんですよね。

自分の名前を名乗って、自分がどんな奴かってことを歌うっていうのが俺はすごい衝撃で。

あと韻を踏むっていう歌詞の構造の面白さとかにものすごい のめり込んだというか。

「何これ?」と思って。

:そっから自分でリリック書きたいとう思いになったのは必然的な感じなんですか?

R:そうですね。最初に歌詞の構造の面白さとか、韻を踏むっていう技の面白さとか、自分のことを自分で名乗って歌うっていうラッパーの「俺ここにあり!」みたいな大々と言えるんやっていうのに衝撃を受けて。

俺もやってみたいなと思ってたんですけど、やっぱ RHYMESTER を聞いたことによって、不良じゃなくてもラップできんねや!みたいなんで。

RHYMESTER の「グレイゾーン」ってアルバムを聞いた時に宇多丸さんの歌詞で、それまで Zeebra さんとかだったら不良な世界のこととか「悪そうな奴は大体友達」というフレーズ聞いてて、不良の音楽って思ってたんすけど。

グレーゾーンの「だから私は酒を呑む」という曲があるんですけど。

その歌詞で宇多丸さんが【口だけ達者「現代っ子」「モヤシっ子」「ひとりっ子」で「カギっ子」】という歌詞があるんですけど「全部俺や!」って初めて自分に当てはまったというか。

それまで不良の生い立ちとか歌われても、俺は関係ないしなとか俺全然不良じゃないしなぁとか思ってたんですけど。

その宇多丸さんの歌詞で「この人もしかして俺と近いんちゃう?」みたいなんで、俺も口だけ達者やし、カギっ子やし、初めて自分とラッパーの人の人生が当てはまったような気がして。

そのアルバムを聴いていくと「グレートアマチュアリズム」って曲で、ド素人が初期衝動をぶつけてやるっていうマインドは全然変わってないと。

RHYMESTER さんぐらいの人がそう言う曲なんで、俺もラップしてもいいんやなと。

Mummy-Dさんも「ねこ踏んじゃったすら弾けないが韻踏んじゃったらお前もライマー」って

楽器も弾かれへんし、不良でもないけど、俺もラップしてもいいんかなと思って中学2年生ぐらいの時に歌詞書き始めました。

:当時どんな言葉を紡いでいたか覚えてますか?

R:当時はほんまにね、どうしようもない下ネタばっか書いてたけど、そういうのが喜ぶじゃないですか中学生は。

:確かに(笑)

R:友達とかにも聞かせてたいじゃないですか。だから本当にモテたいぞ!みたいな欲求とかを書いてましたね。

当時からその時の気持ちをちゃんと書いてたような気がしますね。

正直、不良になりきって書くことも出来たんですけど、ちゃんと自分の思ったこと書いていいんやってRHYMESTERきっかけで俺も書けるって思ったからこそ、そのままの自分を書いたかも分かんないです。

もしかしたらもっと不良な人に感化されてたら、ちょっと悪めな歌詞を書いてたかもわかんないんですけど。

:素敵ですよね、ありのままの自分で勝負してて。

R:結果、俺に近いと思った RHYMESTER さんは、全員早稲田出身で全く俺と格の違う人間やったって後々知るんですけど。

私、大学8単位で除籍となったんですけども。

:そうなんですね(笑)

R:早稲田卒の皆さんとは格が違ったんです、会ったら全員180cmぐらい背高いし。

高学歴、高身長、高収入の3人やったんで、「全然違う人間やった!すみません、おこがましく重ねて」って思って。

:あはは(笑)

MCバトル大会では日本一に輝くなど、素晴らしい経歴をお持ちなんですけど、その強さってどこから来てると思いますか。

R:それこそさっきの話に繋がるんですけど、不良じゃないにしろラップできるんやって思ったてのと、僕は大阪の南の方出身なんですけど、身近にヤンキー文化があって。

強いものに対する憧れとがずっとあったんですよ。でもなれないと、でもラップはそうじゃなくてもできると。

俺それまで人生でなかなか勝ったこととか、成功体験隊があんまりなくて。

スポーツとか勉強も両方とも苦手やったんで、小学生、中学生とか子供の頃って勝つって言ったらその分野しかないじゃないですか。

あとは喧嘩とか、そういった競争事ってまぁー勝ってない幼少期を過ごしてて。

ラップにはまって、その流れで海外のヒップホップも聞くわけですよ。

そしたら一発目で出てくるのは、当時は「8mile」っていうエミネムの出てる映画とかやったりするんで。

それが MC バトルの映画だったりするんで、エミネムが MC バトルで有名なっていくという。

それ見てカッケーみたいな、しかもこれ口喧嘩やん!みたいな。

俺多分、口喧嘩はなんとなく得意ではないですけど、なんかラップにしてとか、そういう思いつきみたいなことで喋るのが好きやったんで。

この喋るので勝ち負けがつくんやったら、腕っぷしとかないし、スポーツも苦手やし、頭良くないけど、もしかしたら?みたいなこと思ってたんですけどね。

ラッパーで「8mile」みてバトルやりたいって、めちゃくちゃベタなんですけど。

日本でもやってる人おるんかなって調べたら、KREVAさんとか出てきたのが、 B-BOY PARKって大会でKREVAさん3連覇してたりとか 、UMB っていう大会で般若さんが優勝した大会とか、そういうのがいっぱい出てきて。

どうやらこれは誰でもエントリーできると、それでちょっとやってみたいなと思ったんですよね。

中学校の時、周りにラップ聞く友達がそれこそ「グレートジャーニー」に出てくるヤマトとタクって奴と、あとヒロムって奴しかラップ聞く友達いなかったんですよ。

そいつらとラップの真似事みたいにしてたら、「お前上手いんちゃう?」って言われたのが人に初めてお前上手いなとか、褒められるとう体験に近くて、それでのめり込んでいったのかな。

強さの秘訣というかは、初めて人生で人に褒められるとか、得意なことが出来たっぽいぞみたいな。

:当時そのメンバーで田んぼでサイファーを。

R:そうですよ。俺の家の裏に田んぼがあるんですけど、そこに集まって、当時はボイスレコーダーみたいなのにインストのビート入れてきたのをヤマトが流して、みんなでラップしてたんですけどね。

ほんまにカエルとかもううるさい状況でラップしてて、みんなでどうしようもない下ネタラップをして笑いあってたんですけど。お前アホか!とか言いながらゲラゲラ笑って。

一息ついて「もう夜遅いしどうする?」とか言ってて、ヒロムも呼ぶかとか言って、堺市の境界線を越えたら狭山って街やったんで、狭山のカラオケまで行って朝までずっとラップ歌ったり普通の歌を歌ったりとかして。

それが結構、僕のラップには繋がっていて、カラオケでいろんなラッパーの人の歌い方を真似して、この人はなんでかっこよく聞こえるのか?とか。

この人は何でラップがうまく聞こえのか?っていうのを実際真似して研究したんですね。

:自分のものにしていったんですね。

R:完全に独学なんでラップは。

:すごーい。

R:でも、発見していく過程の方が面白かったというか、この人なんで早くできんのか解ったぞとか。

ここにアクセントをつけてるから噛まへんなとか、この人何でこんな英語みたいに聞こえんのやろ?みたいな、ここの発音舌を丸めてやってんのかとか、ここに伸ばし棒入れたらこんな風に聞こえんねやなあ、みたいなんで色んな人を真似したのが自分のラップに繋がってるなと思うんですけどね。

:いい青春時代ですね。

R:確かに、一時期はモテなかったとか、俺はイケてない、みたいなこと言ってたすけど。

確かに好きなことある時点でいい青春かもわかんないですね。

:眩しいっすもん。

R:眩しいすか?眩しいんかな?

でも23歳までずっと彼女いないっすよ。眩しいっすか?

:眩しいっすよ、ピュアな輝きが。

R:輝きあります?(笑)

淀んだ輝きやと思いますよ、今こうやって言ってるけど、男3、4人で田んぼの裏で、大真面目にカセット持って、小ちゃくなって、嘲笑の対象ですよね。

田舎やったんで、畑の持ち主のおじいちゃんとか、びっくりしてましたよ。

:確かに(笑)

R:夜10時ぐらい作業終わりに「お前ら何やってんねん?」とか言われて、

「ごめんおっちゃん分からんと思うけどラップって言うねん」
「なんか分からんけど、悪さするなよ」

みたいな。

:のどかー(笑)

R:変に見えたと思いますよ、真っ暗なところで輪になってボソボソ言ってるわけですから。

:確かにお年寄りはびっくりしたと思いますね。

R:びっくりするし、ラップとか知らない人からしたら「あれ、黒魔術?」

:うふふ(笑)

R:「宇宙人降臨させようとしてるのかな」みたいね

:噂になってたかもしれないですね。

R:怖いですね。

 

<書き起こし終わり>

 

 

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