「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」において、Creepy Nutsのお二人がKBDの『イルゴリラシティー』を紹介しました。
以下、R-指定 → R DJ松永 → 松
檻から脱走したゴリラ
松:Rさんの日本語ラップ紹介コーナー参ります。
R:はい、今日紹介したいのはですねKBDというラッパーです。
これもね、梅田サイファーのメンツなんですが.
このKBDが最近『PLANET OF KBD』というアルバムを出しました。
単純にこのアルバム、1stアルバムなんですけどコンセプトアルバムなんですよ。
松:おおー!
R:KBDというラッパーがよく「ゴリラ」というようないじりをいろんな人からされるんですよ。
松:そうだね。
R:体ゴツいしね、背もデカいし。
自分でも結構ゴリラ的なラップをするんですよね、内容的にも。
で、それに乗っかったような形で。
だいたいね、1stアルバムってラッパーは結構人生を全部詰め込んだみたいなアルバムを出すんよ。
松:出すねー。
R:なのにKBDさんは「自分がゴリラ」というテイでラップをする妙なアルバムを作ったんですよ。
松:ほぼフィクションってこと?
R:そう、ほぼフィクション。
でもその中に実際のKBDさんの話も混じっているんだけど、基本的に1曲目で謎の小芝居が始まって。
ラップするゴリラが見世物小屋から飛び出して街に繰り出すっていうストーリー。
松:へぇー。
R:で、いろんな曲が続くんやけど、全曲の後にその小芝居「抜け出したゴリラがどうなっていくのか」のストーリーが挟まれているの。
で、これは単にそういう面白いテイを取っているだけじゃなくて、このアルバムははっきり言って『BEASTARS』です。
『BEASTARS』という板垣巴留さんが書いているすごい面白い漫画があるんですけど。
それは肉食獣と草食獣の世界を青春ドラマにすることによって、より人間社会にある人種間の緊張とか、男女間の悲喜こもごもが人間のテイを取るよりも動物にすることによって浮き彫りになってくるんですよ。
松:なるほどね。
R:というような、これはアルバムのタイトル自体も『PLANET OF KBD』で、これ『PLANET OF THE APES(猿の惑星)』のサンプリングなんですよね。
だから、動物に置き換えることによって『猿の惑星』も人種差別の問題を浮き彫りにしたんですよね。
なのでこれふざけたアルバムのように見えて、このKBDのアルバムは結構ちゃんと「檻から脱走する」っていうのは大阪のアメ村のシーンでやっていたKBDという1人のラッパーがそこを抜け出して日本全国にリリースをしていくということ。
松:なるほどね。
R:ゴリラとにいじられていたラッパーが全国にリリースして打って出るぞというような、自分とかけ合わせているわけですよ。
松:はいはいはい。
R:狭い村から飛び出して、リスナーの耳にお届けしますよっていう。
今日紹介したい曲がこのアルバムの中の『イルゴリラシティー』っていう曲なんですね。
松:イルゴリラシティー…
R:この『イルゴリラシティー』まさに映画で言うと『猿の惑星・征服』でございます。
知能を持ったゴリラが人間社会を支配するという曲です、聞いてください(笑)
韻がアホ!
松:どういうことよ?(笑)
R:最後のオチのフレーズ聞きました?
“育て上げる未来の風雲児 レイシストに投げるミラノ風ウンチ“っていう(笑)
松:聞いたことねえよ(笑)
R:KBDさん韻がもうアホ!
このアルバムね「韻ってこんなに笑えるんや」っていうのも教えてくれます。
松:なるほど。
R:でもこれ、ホンマにすごいのが3バース目で知能を持ったゴリラがForbesの表紙を飾っているんすよ。
でも仲間は標的、猿の軍団はまだ社会の病原菌扱いされていると。
“ふざけんな こっからチェンジザゲーム バスに乗ろうとしたって席がない”
アパルトヘイト状態という、まだ人間社会に差別を受けていると。
だからゴリラのKBDさんは
“国語 数学 体育に理科 社会 この嗅覚でチャンスを逃さない 鬼に金棒 俺らにインテリジェンス”
ということで、知能を持って育て上げるんですよ未来の風雲児を!
松:うん!
で、差別してくるレイシストにミラノ風ウンチを投げつけるという曲でございました(笑)
“育てあげる未来の風雲児 レイシストに投げるミラノ風ウンチ”
R:KBDで『イルゴリラシティー』でした(笑)
松:最悪(笑)
聴き終わった後、感動すら覚える作品
R:これアルバム自体が知能を持ったゴリラの話なんですけど、まぁよく分からないですけど、実際はほんまに『BEASTARS』ぐらいコンシャスな作品なんですよ。
だから『イルゴリラシティー』の中でも、やっぱね要素が多いわKBDさんは。
色んな映画のサンプリングが入っているのよ、そもそもが『猿の惑星』のサンプリングなんですけどね。
松:はいはい。
R:この曲入りが素晴らしいんですけど。
“straight out jungle fuck off ready to rumble
500頭ゴリラ 統べる毛沢東”
っていうね、ゴリラ界の自分は毛沢東であると、言い出すわけですよね。
松:んふふ(笑)
“手にマシンガン握りshit a ass
血煙の向こう側にシルバーバック”
R:シルバーバックってゴリラの親分のことですね。
“仲間たちはいう 奴の名はシーザー”
これ『猿の惑星』の一番偉い猿、知能を最初に持った猿のことをサンプリングしてるんすよね。
松:なるほど。
“IQ200超えたイルゴリラ”
R:って言って、その後に
“ブラザー導くフォローザリーダー
ウータン ドリル にヒヒにチンパン
ごっさモンキーなパイプライン”
R:ってあんねんけど、これ多分スチャダラパーの『今夜はブギー・バック』のリリック
“ごっさファンキーなベースライン”のサンプリングやんな?
松:おぉーん!!
“堕ちた人類の終着点
軽く縊り殺し 主従逆転”
R:やっぱ流石のライミング。
2Verse目はね俺びっくりしてんけど、DNAのことを「塩基配列」って言うらしいな。
松:へぇーーー。
R:ほんまにKBDさん知能高いゴリラで、この歌の中で初めて知る言葉めっちゃ多いんやけど。
だからそれが、知能を持ったゴリラが遺伝子操作によって産まれたって説明してるんやけど。
松:んふふ(笑)
“イニシャルG オリジナル塩基配列
前時代のセンス 便器排泄”
っていうな(笑)
便器排泄で踏みたいがための塩基配列っていうムズイ言葉(笑)
松:なるほど(笑)
R:でこのゴリラがどうやって稼いでるか
“バナとハッパが資金源”
っていう。
松:バナナのこと「バナ」っていうの(笑)
“映画じゃねが俺はビルの上だ”
R:これは『キングコング』のことですね。
『キングコング』はラストにエンパイアステートビルっていうビルの上登るんですけど、このゴリラは知能を持ってほんまにビルの最上階にちゃんと住んでるっていう設定。
松:うーん。
R:その後も”365 終わらない発情期“ってこれ多分DABOさんの”終わらない反抗期“っていうラインから取ってたりとか。(曲名:NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)
松:なるほどね。
R:挙げればキリないぐらい上手い要素が散りばめられてるんですよ。
松:へぇー。すごい詰まった作品だね。
R:めちゃめちゃ詰まってるんすよ。
なかなかふざけたコンセプトやねんけど聴き終わった後、感動すら覚えるというか。
そんな不思議な作品ですので、KBDの『PLANET OF KBD』是非聴いて下さい。
おもろいおっさんです。
「PLANET OF KBD」収録 Link
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