【第三研究室】ZEEBRA&MUMMY-D、マボロシの『記念日 feat.さかい ゆう』を研究・解析

WREP 第三研究室」において、ZEEBRA&MUMMY-Dさんがマボロシの『記念日 feat. さかい ゆう』ついて語りました。

以下、ZEEBRA → Z  MUMMY-D → M 

 

絶妙な抜き感

 

Z:今日は我々の曲を研究してみようと思います。

M:お互いの曲をね。

Z:そうです!俺が分析したい Mummy-D のリリックはこちらになります!

『マボロシ / 記念日feat.さかいゆう』

M:そこかー。

Z:そこいこうかな。

なぜこの曲を選んだかと、いい感じに力が抜けてたり、その抜けてる部分の中にも、ちょっと変わったことをしていて。

その辺をお話ししたいなと思ったんですけども。

まずは曲聞いてみましょうかね。

M:だよね、どんな曲だった?

Z:どんな曲だっけなー

『マボロシ / 記念日feat.さかいゆう』

(曲が流れる)

Z:これをなんで選んだかと言いますとね。

M:これ意外だよ。

Z:元々すごい好きな曲で、よく DJ しててもイベントのアニバーサリーですごいかけやすいし。

誰かの誕生日でもありだし、とにかくパーッとするんでよくかけるんですけど。

M:ありがとうございます。

Z:これね、まず聞きたい事がありまして。

頭ね、ヴァース始まるじゃないですか?

キミはいつも化粧が長くて オレをイラつかせる
オレはいつも気まぐれなヤツで キミをイラつかせる

ここら辺って、2小節で展開するじゃないですか?

M:はいはいはい。

Z:その辺はどうしてこうしようと思ったんですか?

M:これはですね、日本語的に入んないんです(笑)

Z:ははは(笑)

そういうことね!

M:英語だったらね1小節で入りそう。

Z:入りそう。

M:「My Name is」が3音節に対して、日本語は「俺の名前は」7音節食うんですよ(笑)

Z:ははは(笑)

M:だからこれは俺がこの頃よくやってたことで、2小説使って韻を踏む。

しかもこれ韻じゃないね、同じこと繰り返してるだけなんだけど。

Z:そういうことですね。

それがね、いい感じにこの曲の「抜け感」に繋がってるなーってのはすごく思っていて。

M:なるほど。

Z:あとですね、もう一個聞きたいことなんですけど、2番のところ”LDK”あるじゃないですか。

M:はいはい。

Z:1番にも”LED“ってきますよね?

M:そうですか?

Z:きてるんです(笑)

LED”と”Jelly Beans”で韻踏むところあるじゃないですか。

M:うんうんうん。

Z:これはLDKの方が先に出来てたの?

M:そんなことないよ。

Z:どっちのヴァースが先に出来た?

M:1番から書いたよ。

Z:ほうほうほう。

じゃあ1番で書いたLEDの譜割り感が気に入って、2番の頭もそうしてみた!みたいな事なのかな?

M:これはですねぇ、、完全に無意識です。

Z:ははは(笑)

M:これは教授としてはアレなんすけど、ノリっす(笑)

Z:ははは(笑)

M:研究所としては問題ですね(笑)

Z:そうですね(笑)

あとね、ストーリーがしっかりあるのがいいなぁと思うんですよ。

すごくビジュアライズされるというか。

1番が4年目と2番は5年目なんですね。

M:はいはいそうです。

Z:これの間に1年経ってるということですね。

4年目はちょっと揉めたみたいな?

M:そうだね。

Z:ちょい揉めな感じでも一応、「記念日だから出かけるか」みたいな?

M:そうそう、これはね設定的にはね僕らは朝までクラブで飲んでたりするじゃないですか。

翌日にせっかくの休日なのに、夕方から動き出すんですよ。

知ってるでしょ君は。

Z:ありますよ(笑)

M:それで結局、いろんなとこ行けたはずなのに食事とかで誤魔化そうとするんですよ。

Z:はいはいはい(笑)

M:男は用意が早いじゃない、テメーが寝てて、急に行こうって言い出したくせに、化粧の遅い女子を責めるんですよ。

それを鏡越しにやってるという設定です。

すごいよね、結構よくできてると思うんだよね。

Z:凄くよくできてるな。

M:誰も褒めてくれない、始めて褒めてくれたよ!

Z:本当ですか、それはよかったな。

さっき言ってた1番の頭が「イラつかせる」って言ってるだけで踏んでないよって。

2番の LDK のところもそういう感じじゃないですか。

M:そうなんですよね。

Z:そのへんの抜き加減はいいんですよ。

大人でないとできないですよ。

M:そうなんだよね、色んな「韻がタイトな方がいい」みたいなことに縛られたけど、結局どっかでリスナーの耳に優しいフレーズっていうかさ。

ライブだったら言いやすいフレーズとかそういうのないとさ。

「結局みんなここ言うんかい!」みたいなことあるじゃん。

Z:あるあるある!

M:ここからプロショプ的なトークになりますけど。

ラッパーのみんな、ちゃんと言いやすい部分を作るんだよ!

Z:そういうことですね。

今特に、アメリカのHIPHOPもシンガロングみたいな。

M:みんなで聴いて合唱するみたいな。

Z:すごい勢いでそうなったじゃないですか。

M:なった。

Z:だから、こういうポイントはすごい大切だよね。

M:この番組が続く限りそのへんも解き明かしていきたいですね。

 

 

手抜きのつもりだった?

 

Z:ちなみに始めの

It’s you you me & you

ってのは「さかいゆう」君に掛けてるの?

M:それも掛けてよ、もちろん。

Z:いろんなところが掛かってるというこで。

お互い少しだけ年とったね
なんて思うなんて今夜も酔ったね

とったね” “酔ったね

って言ったら小学生でも踏める韻じゃないですか。

M:まあまあまあ(笑)

Z:でも!そういうのを上手く入れていくのがすごい大切だなあと思ってて。

例えばさ“LED”と”Jelly Beans”はちゃんと分かってる人しか出来ない踏みじゃないですか。

M:そうね、音的に正しいということで、字面じゃないんだよって。

Z:そうそうそう。

ポートレート” “オールド・デイズ

とか、長めの固い韻も入ってるんだけど、間に“とったね” と “酔ったね” みたいなやつが入ってくるのがバランスがいいなあって。

M:あっ!そう?嬉しい。

Z:あれかな?もしかしてちょっと手抜きのつもりだった?

M:そんなことないよ(笑)

これはね、じゃあね

「ただいま」の声がむなしくひびくL.D.K.
やたらキュートな雑貨でにぎわうL.D.K.
さっきまで待ってたキミの体温が残ったL.D.K.
笑いあうのもすれ違うのもすべて見てきたL.D.K.

これはLEDって言う言い方だよね。

わざわざぶつ切りにして、同じ拍のところで同じことを言う。

LEDで頑張って踏もうとすれば、見つからないことないと思うんだけど。

ここはみんなに印象を与えたいということと、シンガーと絡む場合は、シンガーが歌いやすいフレーズとかを入れとくと、勝手に足してくれるじゃないですか。

Z:はいはいはい。

M:こういうとこはね、ラップでずっと刻むんじゃなくて、どっかで外してみるみたいな。

密度を変えるっていうのはね、教授的にはいいと思いますよ。

Z:それこそ最近の若い子たちのトラップの3連いったり、譜割り変えたりっていうのと同じような感じとですよね。

M:そうそうそう。

トラップとかやってる子達はさ、刻みじゃなくなった分さ、身も蓋もないこと言い始めてるじゃんよ(笑)

バイトしねぇとか(笑)

Z:はいはい(笑)

M:あれは、そのテクニックの先にあるもんなんだよ。

別の意味でのテクニカルなんだよね。と俺は受け止めてるけどね。

Z:うんうん。

<書き起こしおわり>

 

 

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