「ベートーヴェン」と「運命」最高のダブルミーニング

ベートーヴェンの『運命』は、正式には『交響曲第5番 ハ短調 作品67』と呼ばれる楽曲で、1804年から1808年にかけて作曲されました。

日本語ラップにおいて「ベートーヴェン」と「運命」という2つの単語がしばしばリリックに登場します。

ZORN『One Mic feat. KREVA』


目指す上の上の上の上
この手で切り拓く運命ベートーヴェン
勉強家じゃなきゃゲームオーバー ユノンセン?
ペン買いに走りな文房具店

Hideyoshi『Shinpainai feat. AKLO』


今やUp In The 上の上
だけど最初はあべこべ
つまりStarted From the 下の下
別に根拠はいらねぇから
なりきってたベートーベン
ピアノなんてのは弾けねぇけど
Rapで変えたぜ運命 

KREVAとAKLOは奇しくも同じ「ベートーベン」と「上の上」で韻を踏んでいます。

ピーナッツくん『刀ピークリスマスのテーマソング2022』


ベートーヴェンに言わしゃこりゃ運命
今頃発車する終電が 

FNCY『en』


運命はかく扉叩く
ベートーベンがうなずく
良くも悪くもお互いに
絡み合い渾然一体 

『運命』冒頭の音は「運命が扉を叩く音」とベートーヴェンが発言したと言われています。

しかし、このエピソードを広めたシンドラーという人物は誇張やねつ造が多いことから、エピソードの信憑性も疑われています。

N.E.N 『SQUARE ONE (feat. BLAHRMY)』


CLASSIC 運命 まるでベートーベン SMASH HIT
視覚に効く 刺客 折角 死角からKILL KILL KILL KILL 

Fuji Taito『Nowadays』

数ある中でも特に秀逸なダブルミーニングがFuji Taitoの『Nowadays』です。


ベートーベン弾けねえ引き金
薬より決める運命
回るルーレットと目
修羅場と韻を踏んで
上 もっと上

ピアノと引き金を掛けて「弾けねえ引き金」としています。

ベートーヴェンは、日ごとに悪化する難聴への絶望から1802年に遺書を残しています。

しかし、芸術だけがベートーヴェンの命を寸前で繋ぎ止め、芸術家としての運命を全うするため、その後もほとんど耳が聞こえないながらも数多くの名作を残しました。

「弾けねえ引き金」というリリックでFuji Taitoとベートーヴェンの苦悩や人生が重なります。

この短い文章で何重にも意味が掛かっており、Fuji Taitoのリリックの緻密さが伺えます。

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