韻を畳みかける日本語ラップ -PART3-

noma / 窓口


[ a i o u ] の畳かけに続き [ a i a ] の畳かけです。

nomaはアクセントの付け方や音の伸び縮みの発音で韻として機能させる聞き心地最高のラップです。

今月3回目の水曜
あと何度迎えようとも
My homeにも帰ろうと思えないなら
また同じ番号かけろ
いつでもワンコールで出る俺のtelephone
今も鳴る

もしかした明日死ぬのない
何か残せたとしてそれがどうした
きた 証な価値だ
わかっててもしいか
でも正しさを求めた結果
入れる跳ね除けるか
どっちも正しいさ
今しか ないか昔話をしてる暇は ない
来は いら ないな ら仕方 ない
見晴 らしいいところピリオドを打とう

 

tofubeats / RUN REMIX feat.KREVA & VaVa


ダビデ” と “失速す” の韻はKREVAが提唱する「返り韻」で、小節のケツで踏んだ韻を次の小節の頭にもう一度もってくるというテクニックです。

そしてラスト

個人競技 団体競技関係なく
俺は器用貧乏になんないようにやってやる

は11文字の韻でそこに加えてやってやる との韻 “駆け出す“を入れるとい欲張りパックです。

“気持ちの行き場所 信じましょう
ビートに乗自問自答
て飛び込むビジョン”

気持ちの [ i o i o ] の間に行き場所 [ i i a o ] の韻を連続で挟むという超気持ちいい畳みかけです。

▼KREVAヴァース

これは距離走 なおかつ長距離走
辛い道 無くすなよ希望と理想
ちゃんとしろ 走れ その足で
ダビデみたいに考えるホモサピエンス
走らされてるヤツらから今日も
吐き出されてくため息まじりのco2
大丈夫 これは一生ずっ
続く終わりの無い勝負
失速するヤツら気付けばrun away
俺またスプリント 響くファンファーレ
誰かがささやいてる苦しそう
でもまた加速してみせる不死鳥
個人競技 団体競技関係なく
俺は器用貧乏になんないようにやってやる
駆け出す気持ちの行き場所 信じましょう
ビートに乗自問自答
て飛び込むビジョン高い領域
また用意スタート

ZORN / Life Story feat. ILL-BOSSTINO


ZORNとILL-BOSSTINOの共演ではお互いのリリシズム・ライミングが相乗効果的に凄い領域まで行ってます。

達成感ってのはシャボン玉みたいなもんだな
もっぱら絶やさねえ音沙汰

ZORNからオーダー 本番こっから
武器はガッツと信用 トニーモンタナ

生きるために生まれ 死ぬために生きる
鍵は常に時間が握る 命の皮肉

出し惜しみしないで使い切る
自らディール取り仕切る 売りはリリック

こんな事 所謂2度と起こらないミラクル気がする 全部そうだって気が付く
街が暮れなずむ 常ならぬ見破る
言いたい事りまくる 今だ き殴る

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KREVA / タンポポ ft. ZORN


生活を紡ぐ [ e i a u o u u ] の韻を8連続で畳み掛けた後に 自問自答した矯正施設 [ i o i o i a o e i e ] の10文字の韻を3つ続けるという神業です。

美女のモデルとかリゾートホテルより
味噌と米ありゃ理想と呼べる
火を灯せ 希望の炎 心臓の奥
焚くのは Weed より金鳥の方
生活を紡ぐ 名作を生む
メンタルを写す 変化すんの 普通
贅沢もする 天下無双中
でっかくなったって洗濯もん吊るす
自問自答した矯正施設から
理想以上 今 4LDK
ただ一歩一歩来た 正面切って
調子乗らず ビート乗せる人生
Hip Hop は鏡 元は Rats でも
さまになってここじゃ Star
失敗ばっかり 落ち込んで
イッサイガッサイのみこんで

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SIMON JAP / 悪魔とShall WEEDance feat.Felipe,MU-TON


SIMON JAPのヴァースは小節ごとの全踏みや A/B踏みなどヴァリエーション豊かなライミングを魅せています。

悪魔とShall WEEDance
サツなど巻く支度
流石のラップしちゃう
ハスラーの祭りだ
明日などなく今
桜も咲く時間
格差をなくしちゃう
弱者も勝つ日だ

水商売母ちゃんに女手一つ育てられて
いつもマジやんちゃしよく警察に捕らえられて
地元世田谷なのに俺ん家はお金なんてねぇ
咎められてばっかの環境からは逃れられねぇ

バイトしながら 草売りながら
ファイトし闘う 躓きながら
迷子になった春 フラつきながら
最後には笑う 貫いたまま 

 

早雲 / 懊悩


『懊悩』は終始韻を畳かけながらも、切ない心情や情景が伝わってくるリリックです。

1Verseは [ o u a u ] だけの韻で構成されており最後の言葉が 音楽 [ o n a u ] で締めくくられるのが流石です。

聴覚 網膜 触覚 直感
ノウハウ 一繋ぎのモンタージュ
動脈 静脈数 33回転のドーナッツ
ローカル 凡百 現す頭角
ようやく 到達?いくら儲かるボーナス
欲に任せ頬張る 突発的忘却
本末転倒 見失う方角
意識混濁 壊れたコンパス
今夜走り出す ペンが切り裂く 困惑
Grow Up 幸か不 幸か
また一つ歳重ねる正月
とる同じ子を抱く
ごめんありがとう 根っこに音楽

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ICE BAHN / 足跡

『足跡』のFORKヴァース後半の畳み掛けは、土曜日 [ o o u i ] の韻を軸に様々な韻が織りなします。

行き先はご存知第四土曜日
この先も心配はないDON’T WORRY
夜通し作詞する白紙模造紙
埋める一端立派リーマン御曹司
マイカフォン装備これに対し全部
やれる事はやり尽くしたいが大義名分

 

ICE BAHN /I LIKE IT 


『I LIKE IT』はICE BAHNの3MCが固い韻を踏みながら好きな物を並べていき、最後に「韻を踏むのが好き」と締める、でしょうね!!!となる楽曲です。

FORKの対比する言葉や関連した単語を並べて踏んだり、3MCが同じ韻でずっと踏んだりと様々な遊びが詰まっています。

満員 興奮 安心 恐怖 最新 古風 斬新 DOPE 杏仁豆腐 換金 強運
負けを覚悟したファイティングポーズ

 

次郎(仮名) / 罠


『罠』は流行を型にはめたスタイルが横行する状況を嘆き、それとは一線を画す韻、秀逸な言葉の組み合わせ、ストーリー展開を魅せる曲です。

HIPHOP最先端のスタイルがTrapということでダブルミーニングにもなっています。

2ヴァース目後半、全てのリリックが [ a a i a a i ] の韻で構成されています。

ラストは怒涛の [ a a i ] の畳み掛け、これだけ韻を畳みかけても文章に不自然さはなく、むしろ風刺のキレが上がっていることに驚きです。

hahai
また巷に マラリア並みまさに 流行病
若い盛り から 俄かに罹りヤバイ
騒ぎ回り バタリ バタリ
只 着飾りサマにはなり かなり話題 攫い
だが未だに やはり形 ばかり だな
見習い 辺り が書い た歌詞 か何 かかい?(アーイ?)
堅い 型に 嵌まりあまり 当たり 障り が無い 浅い
中身 が「神 懸かりだ?
ハイ黙り なさい
ダサい 紛い なら聴 かない
更に は やり 汚い やな柵 躱し
流し た涙は力に 替わり
洗い 浚い 語り 明かし たら字 余り か。 難い

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