ZEEBRA&MUMMY-D、AKLO『Cash Out』を研究・解析|流行の言葉と最先端Flowについて語る(ゲスト:AKLO)

WREP 第三研究室」において、ZEEBRAさん、MUMMY-Dさん、AKLOさんがAKLO『Cash Out』について語りました。

以下、ZEEBRA → Z  MUMMY-D → M  AKLO → A

 

「Cash Out」とは?

 

Z:今日ね客員教授からご教授頂く曲を聴きたいと思います。

AKLOで『Cash Out』

 

(曲が流れる)

 

Z:ということで本日のゲストはAKLO!!!

A:どうもどうもAKLOですWassup!!

Z:よろしくお願いします。

M:いやあもう、AKLO来てくれて超助かる!

A:いやいやいやそんな。

M:僕らさ、最初からさR-指定とかさ究極のゲスト呼んじゃったからさ。

Z:そうそうそう。

M:テクニックを喋ってもらうみたいな所で、、この業界バイブス中心の人の方が多いじゃないですか(笑)

Z:はははは(笑)

M:だからロジカルにテクニックを語ってもらうみたいなのはAKLOは絶対間違いないから。

Z:そうだね。バランス感も聞いてみたい。

M:そうだね。

Z:フィジカルとロジカルというかさ。

A:ありますよね。

Z:そのへんの抜き差しの感じとかも色々聞きたいことだらけで。

A:なるほどですね。

Z:ということで早速お話を聞いてみたいと思うんですけども。

まずこの曲が生まれる経緯とか。

M:最新アルバム『REGULAR』の中の曲だよね?

A:そうですね。

 

「REGULAR」  Link

 

M:AKLOの最新版ってことだな。

Z:しかも最近RemixでNORIKIYOがやってるやつも出で。

 

AKLO / Cash Out (Remix) [feat. NORIKIYO] 


 

A:そうですね。

M:これはジブさんが選んだんだよね?

Z:そうだね、昔からAKLOの好きな所は、我々HIPHOPの奴らの英語のスラング感とか今の言葉とかあったりするじゃない。

流行ってる言葉とか、例えば「Swag」とか。

A:あー。

Z:そういう言葉を早めに入れたりするの好きだよね。

M:そうだよねー。

俺なんか未だに「Swag」ってなんだか分からないもんね。

Z:あははは(笑)

M:難しくない?概念がぼんやりしてて。

Z:まあね(笑)

あれは「ある」っていい方をしてるだけで「こいつイケてる」っていうのを「イケてる感じがある」っていい方に変えてるだけみたいな。

まあいいや。

でね、今回で言えば「Cash Out」ってワードを入れてるんですけど。

A:はい。

Z:銀行からお金出すじゃない?

ラップやってると、なんだかんだ言いながらも銀行にお金が入るわけですよね。

A:まあそうですよね。

Z:そういう事なんですよ。

M:なにを言ってるですか?(笑)

Z:いやいやいや、だからその

M:儲かるって意味?

Z:そうそうそう!

新しい動きを「Make move」して「Cash Out」していくと、金に変えていくと。

M:うん。

Z:これはどういうノリで始まったんですか?

A:まずトラック作るとこからはじまったんですよ。

BACHLOGICのスタジオに行って。

「こういうの作りたい」って話から始まるんですけど。

Z:一曲一曲話し合うの?

A:そうですね、その時はトラックだけバーって先に作って「こういうバイブスのトラックでやりたい」みたいなふんわりした感じで。

Z:うんうんうん。

A:この時も「No limit」って昔、サウスのMaster Pとかそこら辺の(レーベルの)バイブスをリバイバルじゃないけども。

Z:イケてる感じのね。

A:そうです、そこ大好きだし、そういうのやりたいって元々言ってたんで。

それは皆んなが聞いても納得するんじゃないかと思って。

元々Master Pの音源で「uhh  Na-nah na-nah 」ってやつがあるんですけど。

 


 

Z:はいはいはい。

A:「Na-nah na-nah」ってフレーズはそっから取りつつトラックでMaster Pの頃のトラック感みたいなのをBACHLOGICに作ってもらうと。

そんな中で、当時と同じ事やるんじゃなくて、それをアップデートしたものとしてやりたいと。

Z:はいはいはい。

A:「Cash Out」って事に関して意味は、実は「引き出し」とかじゃなくて、自分で会社作って最終的に株券売って抜け出す奴とかが「Cash Out」っていうビジネスにおいての動き方で。

M:へぇー。

A:自分の中で作った物が一曲じゃなくて、一個の自分の世界だと思ってて。

そこを完結させて、そっからもう次へいくイメージ。。

Z:はいはいはい。それを売っぱらってって感じか。

A:そうです。

M:勝ち抜けって感じか。

Z:うん。

曲が会社みたいな感覚で?そういう比喩で言ってるってことね。

A:そうっすね。

で、ちょうど自分が今メジャーにいたのを辞めてこのアルバムから独立で自分のレーベル(Studio A)になったんで、そらもなんとなくハマるんじゃないかと思って。

Z:うんうんうん。

そういうことをずーと考えてるんだろうなあって思ってたでしょ?

M:そういうこと考えてるんでしょーね。

Z:はははは(笑)

 

 

AKLOの考える「Flow」

 

M:さっきイントロのJP君の曲でも話したんだけど、割と不自然というか、節に言葉を合わせてくという。

それってなんの影響でどっから始まってるの?

Master Pとかなの?

 

 

A:どっから始まってるって事は正直分からなくて。

あと懸念してるのが、俺も結構バイブスピーポーの可能性ある。

M、Z:あははははははは(笑)

M:いいんだよ!別に音楽はバイブスで作るもんだから(笑)

Z:そうそう。

M:別にいいんだけど、テンポ的にも普通のスピットでも乗せられるテンポじゃんよ。

ああいう分かりやすい節を付けて必ず同じ拍の所で韻を踏むみたいな、形を整えてやることによって今っぽくなるというか。

あれがどんどん流れていっちゃって、フリーすぎる感じだと90年代みたいな感じになっちゃうんだけど、今は違うよね。

A:今は違うっすよね。

M:もうちょっと歌っぽい節の作り方。

A:あれなんなんだろうと俺は思うんですけども。

あれは腹の使い方だと思うんすよ。

M:腹?

A:お腹っす。なんかタイミングは図で見た時は一緒なんだけど腹の使い方でグルーヴが生まれるじゃないですか。

このグルーヴ感って、やってると気持ちいいからみんなハマっちゃったんじゃないですか。

Z:なんかさ、なにが近いかと言うとね弦楽器。

弦楽器って引きと押しでレベルが違うじゃん?

M:えー知らないよ、そうなの?

Z:自分でシンセとかで作ったりしないの?

M:してないよ!

Z:しなよー!

M:あとあれだね、楽器で言うならベンドと言うか、グライドと言うか、分かりやすくベースで言うとゥゥウウーンみたいな。

A:そんな感じですね。

M:言葉でニュアンス出してくと言うよりは、奏法みたいなとこに頼ってる感じがする。

A:そうっすよね、使う物が体になってくというか、喉じゃなくて。

Z:ちょっとさ2分だけ話逸れてもいい?

A:はい。

M:なんだよ(笑)

Z:釈迦坊主君わかる?

今日の昼かけたんだけどさ、これとかまさにそうじゃない?

 

shaka bose 釈迦坊主 – Light 


 

Z:あのね、ちょっと違うんだけど、この子はもう少し短く切ったりとか、上手く付けてくるんだけども。

M:上手く切ってるねえ。

A:リズム的にはそのリズムですよね。

Z:そうそうそう。

これ「音をとる」

パッと聞いて何を言ってるのか、いきなり伝わらなくてもいいと。

M:そうだね。

Z:それよりも音の気持ちよさを取るということだと思う。ここまでくるとね。

M:うんうんうん。

Z:その辺のバランス感って人それぞれだなあと思っていて。

その辺はどう思ってますか?

A:なるほどですね、そういう風に今は考えてなかったですね。

Z:例えば今のやつパッと全部聞き取れた?

A:今、色んなこと意識してそこまではアレだったんですけど、聞き取りにくいとは思わなかったですね。

Z:もちろん、歌詞見ながら聴けば全然分かるんだけど。

A:ここの線引き怖いっすねー。

気づかない間に皆んなが分からなくなってるってことっすか。

Z:そう。だから届かなくなってることもある。

ただ、届かないことが間違いではないかもしれないよ。

M:音として楽しめるもんね。

Z:例えば洋楽を英語とか関係なく聞いてたら音として楽しんでるわけで。

その聞き方が間違ってるとは言わないし、そういう風に聞かせようとやってる人が間違ってるとも言えない。

A:まぁそうですよね。

Z:昔はそういうの無かったからね。

A:確かに僕がデビューしたのは10年前ぐらいですけど「AKLOってああいうフロウなのに聞き取れるよね」とかってすごく言われた気がするんですよ。

Z:はいはいはい。

A:それって年々ハードルは下がっていって「聞き取れる」ってことが増えてるみたいな。

Z:それもあるかもしれない。

A:だからもっともっと攻めれる。

あの頃やってた事って、もっと分かりやすいんですよ。

Z:うんうんうん。

A:だからもっと複雑なことしても皆んな分かるし、そこに対してあんまり突っ込まなくなってる気がしてて。

それはスゲーいいなって俺は勝手に思ってたんすよ。

Z:うんうんうん。

A:だから年々良くなっていくんじゃないですかリスナーの耳が。

M:耳が慣れていくってことだ!やり手の問題じゃなくて。

Z:そうだね。

M:でもAKLOすごいさ、色んなフロウを試しつつも、聞き取れるかどうかを意識してやってるタイプのラッパーだと思うんだよね。

あと、最新のフロウに身を任せつつも、韻はスゲー固いとか。

「お疲れ様です!」っていう、作ってる身からすると。

偉いなあと思うよ。

Z:「そんな韻見つけちゃって」って思うよね。

M:うんうん。

A:ただ周りにZORNとかいるんで、本当にあいつとか超固いから、そういうのはいい刺激になってるってのもありますね。

自分でもそういう認識はあって、自分はライムも固くてフロウも頑張ってるみたいな。

それも最近はまだまだって気持ちになってますね。

Z:ほー。

A:この路線なんですけど、もっともっとブラッシュアップというか。

M:それはなかなかねえ、ハードな道ですよ(笑)

真っ正面なわけじゃん、正攻法というか。

Z:まあね。

A:韻はすげえ正義だと思うんすよ、正義感を感じる。

韻がスゲー面白かったらラッパーとして興味持っちゃうんすよ。

Z:俺もそうだな。

M:分かるよ。

A:そこの核心となる所で興味持てるというか。

Z:韻って、頭の早い奴と遅い奴を比べたら色々違いがあるかもしれないけど、比較的ちょっと考えないと出来ないことじゃん。

A:そうですよね。

Z:その考えるって作業に愛を感じる。

A:あー!

Z:そういうことじゃない?

「こいつHIPHOP好きだな」みたいな。

A:確かに。

M:だとしたら後はやっぱ言葉届けたいっていう。

A:そうですね「届けたくない」とは思ってないというか。

M:アリかナシか別にしてさ、響重視は人によって割合違うけど若い子だと特にLEX君とかもそうだけど。

響が面白いからそっから入るみたいな。

Z:はいはいはい。

M:アリだと思うんだけど、そういうどう思う?AKLOとして。

A:フロウってある意味ファッションかなあって思ってて。

あんまり金がない時とか洋服とかそんなオシャレ出来ないけど「音楽ぐらいオシャレしてやるよ!」みたいな気持ちはあって。

なんとなくオシャレなフロウとかをファッションに近い感覚で持っていたんですよ。

M:うーん。面白いね。

Z:素敵な話だね。

A:結局リリックで言いたい内容が一番重要なんですけど「こいつはこういう曲でこういう事言ってるんだよね」って説明が出来る、面白そうだなって思ってもらえる。

なおかつ「ライムもこういうライン踏んでてさ」って、フロウに関しては結構おまけだと思うんですけど。

ただやっぱり人って見た目が重要ってよく言うじゃないですか。

Z:はいはいはい。

A:ファッションとかに気を使う理由ってそこなのかなぁって思うんですけど。

それと一緒でフロウも結局最初の印象で。

Z:そうだね、第一印象フロウで決まるとこあるよね。

M:そうですよ、人は見た目が9割って本が出てましたから(笑)

A:それと一緒なんですよ(笑)

M:じゃあAKLOからするとフロウ的な部分は流行り廃りがあってOKってことだね?

A:OKだし、リバイバルがあってもOKっていう。

Z:はいはいはい。

今ね、ファッションって聞いて思ったのが、俺ダンジョンとかでMCバトルの現場よくいるじゃない。

最近の若い子たちはトラップフロウ バリバリですげえなって子たちいっぱい居るわけよ。

で、ファッションで分かりやすいのは、スーパーオーソドックスなザ・オーセンティックB-boyみたいな子は絶対BoomBapなラップするし。

M:あはははははは(笑)

Z:今風な格好してるなって子は3連かましてきたりするんですよ。

M:まぁそうなるよね!

Z:まぁそういうの分かりやすくて面白いなって思うんですけどね。

M:スタイルウォーズだよね。

 

<書き起こしおわり>

 

「REGULAR」  Link

 

 

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